• 2024.02.16
  • 訴訟・紛争解決

詐害行為取消請求訴訟を提起した事例

事案の概要

当事務所の顧問先(株式会社X)は、レストランを経営するY会社に対して3000万円の売掛債権を有していました。Y会社は、レストラン事業を新設会社分割により分離させ同一名称で新会社を運営していました。その後、分割会社については民事再生手続きをとり、清算する旨の連絡がありました。当事務所の依頼者としては、債権者に対する弁済をしないまま会社分割により新会社を設立し、何食わぬ顔で事業を行っている債務者に対して憤りを覚え、対処方法について相談するため、当事務所を訪問してこられました。

詐害行為取り消し請求訴訟のポイント

債務不履行にあるなど返済能力に問題がある債務者が、債務の返済をしないまま資産を第三者に処分してしまうと、債権者は債権の回収ができなくなってしまいます。このような場合、不当に廉価で財産を売却することは一般の債権者を害する行為と言えますので、債権者は裁判所に訴訟を提起することで、詐害行為を取り消すことができるとされています。

栗林総合法律事務所の業務の結果

栗林総合法律事務所では、分割会社と新設会社の双方を被告として詐害行為取り消し請求訴訟を提起しました。被告であるレストランの運営会社も、今回の会社分割が資産の隠匿に使われた不当な目的によるものであることは認識していましたので、訴訟提起後早い段階から和解の提案がなされました。依頼者とも相談の上、債権額の8割の支払いを受けることで和解を成立させています。本来は民事再生法の申請により債権の回収が極めて困難な状態にあったわけですが、詐害行為取り消し請求訴訟を提起することでかなりの割合の債権を回収することができたことになります。今回の場合、同様の立場にある債権者は多くいたと思われます。他の債権者よりも先に動くことで債権回収を図ることができたことになります。

栗林総合法律事務所のサービス内容

当事務所は設立以来債権回収業務に力を入れてきました。協議による債権回収が最も好ましいですが、相手方が財産隠匿行為を行っていたり、協議に応じてこない場合には訴訟提起や強制執行手続きにより、強制的に債権回収を行います。詐害行為取消訴訟は資産隠匿行為を行おうとする債務者に対する強硬な対抗手段となります。