• 2024.02.16
  • 海外進出支援

ニューヨーク州の会社の株式全部を第三者に譲渡した事例

事案の概要

日本の会社がニューヨーク州のマンハッタンに子会社を設立し、マンハッタンの中心部に小規模の店舗を借りて事業の運営をしてきましたが、当初期待していた収益や相乗効果が期待できないことや、日本とアメリカの双方の会社を管理することの肉体的負担が大きいことから、アメリカの子会社を売却することになりました。幸いマンハッタンの店舗に興味を持つ買手候補が現れたことから、契約書の内容や引継ぎ条件について協議が行われることになりました。ニューヨーク州子会社の譲渡人である日本の会社は当事務所に対し、アメリカ子会社の処分に関する法的アドバイスと、株式譲渡契約書のレビューを依頼してきました。

クロスボーダーM&Aのポイント

日本の中小企業が海外展開を行う場合、現地の拠点を設けるかどうか、現地の拠点を設けるとして、どのようにしてその拠点を作るかが重要なテーマとなります。一つの方法は、子会社を設立することですが、自ら子会社を設立しても、現地のビジネスを軌道に乗せるためには多くの努力と時間を要することになります。そこで、自ら現地の子会社を設立するのではなく、既にある会社を買収するのは一つの重要な選択肢となります。当事務所では、日本企業が現地企業を買収する場合のクロスボーダーM&Aや、日本企業が株式譲渡や事業譲渡の方法により子会社の持ち分や事業を譲渡する場合の契約書の作成、関係者間での協議、調整などを行っています。

栗林総合法律事務所における作業の結果

栗林総合法律事務所では、依頼者に対してニューヨーク州の会社の株式を譲渡する際の手続きについてアドバイスを行うとともに、買手候補者を代理しているアメリカの法律事務所と協議し、契約条項について話し合いを行っていきました。主な協議事項としては、レッパンド・ワランティ(Rep & Warranty)や誓約事項としてのコベナンツ(Covenant)の内容、クロージングに向けてどのような前提条件(Condition precedent)が要求されるのかなどです。個々の条項が実現できるものであるかどうかを確認し、当事者に債務不履行の生じることのないような契約書にまとめていくことが重要でした。また、全てのM&Aにおいては、それぞれの事情において異なった考慮事項が求められることになります。本件では、ニューヨークの会社の売却に関して、change of control条項により店舗の不動産オーナーから了解が得られるかどうかが重要な問題となりました。株式譲渡の場合であっても、対象会社が締結している不動産賃貸借契約書の内容についても確認をしておく必要があります。

栗林総合法律事務所のサービス内容

栗林総合法律事務所では、日本企業が海外進出を行う際の法的支援を行っています。このような支援の中には、営業拠点の探索、賃貸借契約の締結、人の採用など現地におけるコンサル的仕事や、現地法人の設立支援など、現地のプレゼンスがないと行えない業務もあります。一方で、日本から海外への輸出を行ったり、現地の販売代理店を指名して、販売代理店を通じて現地企業に対して商品を販売する場合など、日本国内にいながら海外での商品の販売やサービスの提供を行っていく方法もあります。これらの国際取引の枠組みの決定などは、相手方当事者との協議を行いながら契約書やLOIなどの文書に落とし込んでいくことができます。当事務所では、国際取引を行う場合の注意点や国際取引の始め方について、海外進出を始めて検討されているお客様から、既に多くの国際取引を行っているお客様にいたるまで、様々な企業様からのお問合せを頂いております。また、海外取引の協議内容については、LOIやMOUの形で文書に落とし込み、当事者の理解の齟齬がないようにしながら話をまとめていく支援を行っています。さらに、取引条件などについて基本的合意ができた場合には、商品取引基本契約書、動産売買契約書、サービス提供契約書、販売代理店契約書、エージェント契約書、ライセンス契約書等、依頼者の実情に応じた様々な種類の契約書を作成し、円滑な海外取引が実施できるよう支援しています。海外進出支援に関する弁護士費用については、タイムチャージ制となります。パートナー弁護士の1時間当たりの単価は5万5000円、アソシエイト弁護士の1時間当たり単価は3万3000円となり(いずれも消費税込)、これらの弁護士が当該案件に使用した時間に各弁護士の時間単価を掛けた金額を毎月集計して請求させていただくことになります。一方顧問契約を締結いただいているお客様については、2割のディスカウントがありますので、パートナー弁護士の場合の時間単価は4万4000円、アソシエイト弁護士の時間単価は2万6400円となります(いずれも消費税込)。顧問契約を締結いただいたお客様に対しては、日本語の契約書や英語の契約書の作成レビューなどのサービスだけではなく、電話やeメールによる日常の法律相談など、お客様の業務内容をしっかり理解し、継続して適切なサービスの提供ができるようにするためにも、顧問契約の締結についてご検討ください。