• 2024.02.07
  • 国際相続

香港の裁判所にプロベイト(財産管理人選任)の申立てを行った事例

事案の概要

日本に住む日本人(50歳男性)が香港上海銀行とハンセン銀行に合計400万円の預金を残したまま死亡しました。この男性は以前から日本企業に勤めていましたが、かつて香港に出張しており、その後も香港に渡航する可能性が高いことから香港の銀行にも預金を持っていました。相続人である奥様からは、プロベイトにかかる費用が高いのであれば預金については放棄しようかと考えているとの話がありました。

香港のプロベイト手続のポイント

被相続人が有する香港の銀行口座を解約する場合、金融機関から、財産管理人の選任決定書(Grant of Administration)の提出を求められるのが通常です。その結果、日本人の遺産相続であっても、香港に預金などの相続財産がある場合は、香港でのプロベイト手続が必要となります。香港のプロベイト手続きは複雑な側面もありますので、プロベイト手続きに慣れた香港の弁護士を選任する必要があります。

栗林総合法律事務所による作業の結果

栗林総合法律事務所では、プロベイト手続きをいつもお願いする香港の弁護士事務所がありますので、その事務所を通じて香港の裁判所にプロベイト(財産管理人選任)の申し立てを行いました。栗林総合法律事務所では、戸籍謄本、除籍謄本、死亡証明書、相続人関係図、日本の相続法に関する法律意見書などをそろえ、香港の裁判所に提出しました。その結果、1年近くの期間を要しましたが、香港の裁判所から、申し立て代理人を財産管理人に選任する決定書をいただくことができ、無事に銀行口座の解約を行うことができました。依頼者の側では、弁護士費用が預金残高よりも高くなるのではないかと懸念されていましたが、本件に関する弁護士報酬は、日本の弁護士と香港の弁護士の報酬を合わせて160万円程度となりましたので、依頼者には弁護士報酬を控除した後においても、240万円ほどの金銭をお渡しすることができました。

栗林総合法律事務所のサービス内容

日本人が香港の証券会社や銀行に証券や預金を残して死亡した場合、極めて少額の預金しかない場合を除き、プロベイト手続(財産管理人選任申立手続)が要求されます。栗林総合法律事務所では、日本人の相続人からの依頼により、死亡診断書、除籍謄本、戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、相続関係図、日本の相続法についての法律意見書等各種の書類を作成し、香港の裁判所に提出してきました。また、香港の弁護士とのこまめなコミュニケーションを図ることで、香港におけるプロベイト手続きの概要や進行状況について日本の依頼者様に対して適宜報告・説明を行います。香港におけるプロベイト手続きが成功するかどうかは、現地の適切な代理人を選任できるかどうかにかかってくる部分が大きいと言えます。栗林総合法律事務所では、当事務所と協力して円滑な手続きを行ってくれる現地の弁護士をご紹介させていただきます。