• 2024.02.08
  • 人事労務

ユニオン(組合)との団体交渉を行った事例

事案の概要

ある製造業者において1年ごとの有期雇用を5回継続した段階で雇止めを通知したところ、当該従業員がユニオンに加入し、ユニオンから団体交渉を求められました。労働契約法18条では、有期労働契約の期間が通算して5年を超える場合、労働者からの申し込みがある場合は期間の定めのない雇用契約に転換されるとされています(無期転換請求権)。従って有期雇用の場合は、契約に定められた期間の満了時に契約を終了させることができますが、期間の定めのない雇用契約になった場合は、合理的かつ相当な理由がないと契約を終了させることができません。ユニオンの側からは、当該労働契約は、実体として有期雇用と同じとみなされ、また労働者の側としても契約更新についての期待を有していたことから、雇用契約の終了通知は、不当な雇止めに当たり無効であると主張されました。また、ユニオンとの交渉の過程においては、ユニオンの側から、会社の労務管理について様々な法令違反があるとの指摘がなされました。

ユニオン(組合)との団体交渉のポイント

労働組合がある会社においては、労働者の就労条件について労働組合との間で労使交渉がなされることになります。一方、労働組合がない会社の場合は、労働組合を通じた団体交渉ができません。このような場合に、労働者が直接個人で会社との交渉を行うことは難しいことから、外部のユニオン(組合)に加入することで、ユニオン(組合)を通じて労使交渉を行ってくることがあります。ユニオン(組合)による労使交渉の申入れは団体交渉になりますので、会社の側は正当な理由なしに交渉を拒否することはできません。もし、自らユニオン(組合)との交渉を行うことについて不安がある場合は、弁護士にサポートを依頼することもできます。

栗林総合法律事務所による業務の結果

栗林総合法律事務所は、会社からのヒアリングを経て、できるだけ話し合いによる円満な解決を図ることが適切であるとの方針を示し、ユニオンに対しては会社を代理して交渉することになった旨の内容証明郵便を発送し、団体交渉の日程について協議することになりました。団体交渉においては、もともと有期雇用契約で、期間満了時に退職することが明確に合意されていたこと、有期雇用契約社員については、正社員と職種や業務内容、待遇、勤務時間などにおいて大きな違いがあること、会社としては他の有期雇用契約社員についても期間満了時に契約を終了しており、極めてわずかの例外を除き、契約の更新が認められていないことなどを説明しました。ユニオンの側からは、契約更新についての正当な期待があったことなどを主張され、話し合いは平行線のままとなっていました。しかし何回かの団体交渉を繰り返すなかで、雇用契約期間もいよいよ満了するという段階になって、会社の側から一定金額の解決金を支払うことを提案し、ユニオンの側もこれを受け入れたことから和解が成立することになりました。

栗林総合法律事務所のサービス内容

栗林総合法律事務所では、会社の依頼に基づき、ユニオンとの団体交渉の代理を行っています。会社内部の労働組合の場合、組合員の待遇改善を求める交渉が主となりますが、懲戒解雇された社員が懲戒無効を求める場合や、有期雇用契約の満了を告げられた社員が、雇止めが無効であるとして会社を訴える場合、外部のユニオンに加入し、団体交渉を求めてこられる場合が多くあります。当該従業員の立場からすれば、労働審判や裁判の場合の場合と比べて、ユニオンは安い費用で迅速に団体交渉をしてもらえ、交渉の結果、自分たちの要望が通りやすくなるとの期待を有していることが多いと思われます。栗林総合法律事務所では、紛争が生じた理由について会社からの詳細なヒアリングを行い、法律の定めの中でどのような対応が可能かについて事前に会社と綿密な打ち合わせを行います。その上で、会社を代理して団体交渉を行い、当該労働者との間で和解を行います。交渉の結果、和解に至らない場合は、労働審判や訴訟により最終的な解決を図ることになります。労働組合との交渉やユニオンとの交渉についてお悩みの方は是非栗林総合法律事務所にお問い合わせください。