イスラエル企業との間の株式引受契約書及び株主間契約書を作成した事例
事案の概要
当事務所の顧問先は、取引先であるイスラエルの企業から、自分の会社に対して投資を行うことについての依頼を受けました。イスラエルの企業はセキュリティ関係の有望な商品開発を行っており、将来はイスラエルやアメリカの証券取引所への上場も視野に入れていましたが、開発行為に多額の資金を必要としており、関係者からの投資だけでは十分な資金調達ができなかったことから、当事務所の顧問先に対して投資契約書を提示して、投資を行うことを勧誘してきました。当事務所の顧問先としては、これまでの取引内容から相手先企業の内容については十分理解しており、また投資額も数億円と限定されていることから、十分にリスクを負担できる範囲であるとの認識のもと、デューデリジェンスなどの手続きを経ることなく、投資を行うことを決定しました。但し、イスラエルの企業が将来株式上場を果たした場合には、十分な見返りを得たいと考えていましたので、当事務所に対して株主としての権利が保全されているかどうかを確認するため、株式引受契約書及び株主間契約書のレビュー(監査)を依頼してくることになりました。
栗林総合法律事務所のサービス内容
既に存在する会社が資金調達を行う方法として、金融機関から借り入れを行う間接金融の他、新株を発行し、引受人からの払込資本によって資金を調達する直接金融の方法があります。上場会社の場合は、証券会社に依頼して株式の売り出しを行い資本市場から資金を調達することができますが、非上場会社の場合は、IPOなどの場合を除いて多数の投資家から資金調達を行うことができません。そこで本件のように取引先や知り合いの企業に対して新株の発行を行い、払込資本によって資金の調達を行うことを検討することになります。当事務所は、依頼者(日本の会社)からの依頼により、株主引受け契約書(Stock Subscription Agreement)及び株主間契約書(Shareholders Agreement)をレビュー(法務監査)することになりました。これらの契約書は英語で作成されておりますので、その概要を日本語にして説明するとともに、各項目について問題点がないかどうかを洗い出していくことになります。特に今回のディールでは、日本の会社は今回の投資によってイスラエル企業の50%以上の株式を有する筆頭株主になることになっています。そこで、今後の運営がきちんとなされ、日本の会社が追加の払い込みを要求されたり、株主責任を問われることがないかどうかが重要なチェックポイントとなりました。また、日本の会社としては、投資によって配当を受けることなどについては特に意識はありませんでしたが、将来株式上場が果たせた場合には、十分な果実を得たいと考えていましたので、上場時における投資家の扱いに関する契約条項についても確認が必要となりました。
栗林総合法律事務所によるクロスボーダーM&A
日本企業が外国企業の第三者割当増資を受けて株式を取得する場合でも経営権を取得するような場合はクロスボーダーM&Aに該当することになります。投資を行う日本企業としては、対象企業(ターゲット会社)の内容をきちんと把握するためのDD(デューデリジェンス)を行い、投資先の企業についてきちんと理解しておく必要があります。また、外国企業への投資については、対象となる会社の所在地の法律が準拠法となりますので、新株の発行手続きが当地の法令に基づき適切に行われているかどうかを確認してもらう必要があります。このような手続きは現地の法律事務所にリーガルオピニオン(法律意見書)を作成発行してもらう方法によって行われることになります。また、投資家の権利がどのようなものであるかについては、会社の定款や現地の会社法により定められるものの他、株主間契約書(Shareholders Agreement)や株式引受契約書(Subscription Agreement)の中で定められることになります。従って、外国企業への投資を行う際には、これらの契約書や法律の内容をしっかりと調査し、自分辰が考えている投資家としての権利やリスクと相違がない内容になっているかどうかを確認していく作業が必要となります。栗林総合法律事務所では、日本企業が外国企業への投資を行う際のこれらの法律および契約内容の調査を行い、日本語により依頼者企業に対して説明を行っていきます。また、依頼者である日本企業の希望がある場合には、その希望内容がきちんと契約書に反映されるよう相手方と協議し、契約内容に反映する作業を行っていきます。
費用(消費税別)
日本企業が海外企業への投資を行ったり、外国企業を買収する案件のサポートについては、通常タイムチャージで行っております。M&A案件のサポートをご依頼いただいた段階で、事前に日本語または英語により委任契約書(Engagement Agreement)を締結し、当事務所の弁護士報酬について明確化させていただいております。パートナー弁護士の1時間当たりの弁護士費用は3万5000円となります。アソシエイト弁護士の1時間当たりの弁護士費用は2万5000円となります。毎月、弁護士が使用した時間に、各弁護士のビラブルレート(時間当たりの単価)を乗じた金額を明細書とともに請求させていただくことになります。毎月請求書とともに、請求明細書を日本語または英語で作成し、依頼者に対して提出いたしますので、依頼者は当事務所で行った業務内容や支払うべき弁護士費用の概算額について把握することが可能です。万一報酬について意見の相違がある場合には、依頼者からの意見をうかがい報酬金額について調整させていただくこともあります。なお、本件のようなクロスボーダーM&A案件(当事者の一方又は双方が外国企業であるため、国境をまたぐM&A案件)については、ほとんどの法律事務所がタイムチャージ制を提案されていると思いますが、万一固定報酬をご希望される場合は、ご相談させていただきますので、お問合せください。当事務所でも、グループ企業間の経営権の移転に関する案件において、費用を節約したいとの依頼者のご希望を配慮し、固定報酬の御提案をさせていただいたこともあります。