• 2024.03.04
  • 一般企業法務

株主総会決議取消の訴えを提起した事例

事案の概要

T株式会社では、毎年株主総会が開催されているものの、弁護士などのアドバイスを受けずに行っていたため、様々な手続き上の欠陥がある状態でした。当方の依頼者は、T株式会社の株主ですが、招集通知がなされないまま定時株主総会が開催され、取締役の選任がなされたが、株主に対する適切な株主総会招集通知を欠く株主総会は無効ではないかとして当事務所に相談に来られました。

株主総会決議取消請求訴訟のポイント

株主総会決議取り消しの訴え(会社法831条1項)とは、一旦行われた株主総会の決議を後から取り消し、その効力をなくしてしまう(決議がなかったものとしてしまう)ための訴えです。決議の取り消しは裁判所の決定によってのみ行うことができますので、裁判所への訴訟提起が必要になります。株主総会決議取り消しの訴えを提起できるのは、次の場合になります。
① 株主総会の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。株主総会の招集手続きや決議の手続きに瑕疵がある場合です。例えば次のような場合が該当します。
・決議の定足数が不足していた場合
・一部の株主に対して招集通知が送付されていなかった場合
・招集通知が定められた期間内に発送されなかった場合
・招集通知や株主総会参考書類の記載内容に不備がある場合
・取締役会の決議なしに代表取締役が株主総会の招集を行った場合
・招集通知に記載のない事項について決議した場合
・取締役による説明義務違反がある場合
・議決権の行使が妨害され、議決権行使ができなかった場合
② 株主総会の決議の内容が定款に違反するとき
③ 株主総会の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がなされたとき

株主総会決議取り消しの訴えは、取り消しの対象となる株主総会の決議がなされた日から3か月以内に訴えを提起しなければならないとされています。株主総会決議が取り消された場合、株主総会の決議を前提として行われた様々な取引が無効とされてしまうため、早期に決議の効力を確定させる必要があることから、提訴期間が3か月という短い期間に限定されています。

栗林総合法律事務所の業務の結果

株主総会を開催する場合は、会社の代表取締役は各株主に対して株主総会招集通知を発送する必要があります。本件では、一部の株主に対する株主総会招集通知の発送がなされていないことが判明しました。また、株主の中の一人は、株主名簿上株主が会社名に変更されているにもかかわらず、個人に対して総会招集通知書を送付していることが判明しました。招集通知は、株主に対して株主総会の開催日時や場所を伝え、株主総会への参加を可能とするものですので、株主の権利行使にとって極めて重要です。裁判所は、株主総会招集通知に欠陥があったとして、取締役を選任する株主総会決議を取り消す決定を出しました。

栗林総合法律事務所のサービス内容

少数株主が株主総会決議取り消しの訴え、総会決議無効確認の訴え、株主総会決議不存在の訴えを行うのは、会社支配権をめぐる争いがある場合や、多数派株主と少数派株主との間に争いが生じている場合と考えられます。また、中小企業においてこれまで法律に従った総会の開催を行ったことがないような会社で内紛が生じた場合に、過去の総会決議が適正だったのかが争われることになります。当事務所がこれまでに扱った案件でも、株主の知らない間に取締役選任がなされていたり、合併や会社分割などによって持ち株比率が著しく低下させられていたという事例が多くあります。栗林総合法律事務所は、株主総会決議取り消しの訴え、総会決議無効確認の訴え、株主総会決議不存在の訴えにおいて会社や株主を代理して訴訟追行を行います。株主総会決議取り消しの訴え、総会決議無効確認の訴え、株主総会決議不存在の訴えについては栗林総合法律事務所にお問合せください。