アメリカ企業から債権回収を行った事例

国際紛争事案の概要

当事務所の顧問先である日本企業Xは、アメリカの会社Yに対して、約3000万円で工作機械を販売しましたが、アメリカの会社Y社からは、契約書に定められた期日までに商品代金3000万円の支払いがありませんでした。X社はこれまでにも何度かY社と取引を行っており、その都度問題なく代金が決済されていましたので、支払が遅滞するのは今回が初めてです。X社の担当者からY社の担当者に対して何度も催促のメールをしていますが、最初のころは、「支払を待って欲しい。」という回答がありましたが、そのうちX社からの問い合わせに対しては一切回答がない状態となってしまいました。代金の支払いがなく連絡が途絶えてしまった理由としては、財務状態が著しく悪化した可能性が考えられます。X社の代表者は、Y社に対する売掛金の回収を図る方法について栗林総合法律事務所に相談に来られました。

栗林総合法律事務所による紛争解決

X社の代表者からの相談を受け、栗林総合法律事務所で売買契約書(Sale & Purchase Agreement)、注文書(Purchase Order)、納品書(Delivery Slip)、貨物運送状(Waybill)、請求書(Invoice)などを検討したところ、日本企業Xの主張に間違いはなく、Y社が支払いを拒む正当な理由も存在しないように思われました。栗林総合法律事務所では、X会社の代表者の了解を得て、Y会社の所在地にある法律事務所(アメリカの法律事務所Z)に委任し、本件回収業務を依頼することになりました。アメリカの法律事務所では、公的記録から、Y会社の登録情報や担保権の設定状況、倒産手続きの開始の有無などを調査してもらうとともに、インターネットにおける情報調査、信用調査会社からの信用調査書の取得も行ってもらいましたが、Y会社についての特別の情報は見当たりませんでした。その後、当事務所からは取引に関連する書類を翻訳し、Z法律事務所に送付するとともに、警告書の送付や訴訟提起を急ぐよう依頼しました。Z法律事務所は、Y会社に対して警告書(Warning Letter)を発送するとともに、訴状を作成し、訴訟提起の準備を進めていたところ、突然Y社から請求金額全額の支払いがなされて、本件が解決することになりました。

国際紛争解決のポイント

日本企業が海外取引を行う場合には、売掛金の回収についても十分な注意を払う必要があります。日本企業どうしの取引においては、登記事項証明書や帝国データーバンクの信用調査などを取得し、信用調査を行うのが通常ですが、海外取引の場合には、十分な信用調査を行わないまま取引が開始されることもあります。取引の相手方からの代金の支払いは遅滞している場合には、取引先の信用状態に問題が生じている可能性もありますので、できるだけ早期に正確な情報を入手するとともに、債権回収の手続きを進めていくことが必要となります。特にアメリカ企業の場合には、日本企業よりも容易にチャプター11の申立てを行うことがありますので、売掛債権が倒産債権とならないよう注意を払っていく必要があります。栗林総合法律事務所では、できるだけ債務者の所在地に近い現地の法律事務所をアポイントし、債務者の企業情報を入手するとともに、早期に回収交渉を行ってもらうよう依頼しています。場合によっては少額の債権の回収にとどまり、残額を債権放棄せざるを得なくなる可能性もありますが、債務者の倒産リスクを考えた場合、時間との勝負となる可能性もありますので、依頼者と十分協議しながら、落としどころを探っていくことになります。また、栗林総合法律事務所では、債務者からの支払が受けられない場合は、訴訟提起も重要な手段として考えています。債務者が十分な資力を有し、判決を取得することで債権回収の可能性があると考えられる場合には、現地の法律事務所を通じて訴訟提起を行い、債権回収を図ります。多くのケースでは、債務者としては訴訟による敗訴のリスクも十分認識していますので、訴訟提起に伴い発生する多額の弁護士報酬なども考え、できるだけ早期に(少なくともトライアルやディスカバリーの開始される前に)和解を行いたいと申し出てくることがほとんどだと思われます。このように現地の弁護士事務所による警告書の送付、協議交渉、訴訟の提起などの手段を交え、早期に債権回収を図ることが重要であると考えられます。

栗林総合法律事務所のサービス

日本の弁護士の役割

弁護士の資格は自分の国だけで認められるものですので、外国の裁判所に弁護士として出頭し弁論することはできません。外国での訴訟手続きについては、現地の弁護士事務所が対応することになります。しかしながら、多くの事例において、外国の法律事務所に丸投げしていただけでは、必ずしもいい解決が図れるとは限りません。貴社の考えを現地の弁護士にしっかり伝え、正確な意思疎通を図るコミュニケーションが重要になってきます。また、外国の法律事務所はタイムチャージで請求をしてきますので、日本の弁護士が間に入って高額の請求を抑制するようにしていかないと弁護士費用が極めて高額となってしまうことがあります。外国の法律事務所からしても、日本の会社自体はどのような企業なのかが分かりませんので、日本の弁護士に間に入ってもらうことに安心感を持つことも多くあります。

国際訴訟関係資料の翻訳

外国裁判所の判決や決定文を含め、国際訴訟に関する資料は非常に難解で膨大となります。当事務所では、外国判決や外国裁判所の決定文、外国の裁判所に提出された証拠資料など、国際訴訟に関する資料の翻訳を行います。専門家による翻訳を行うことで、訴訟な内容や手続き、進行状況について正確に理解をすることが可能となります。また、必要により判決文の分析を行い、依頼者の法的立場についての説明をさせていただきます。

現地法律事務所の選定

現地の法律事務所の選定は訴訟の勝敗に対して多大な影響を与えることがあります。当事務所では、法律事務所の選定・推薦を行うとともに、当事務所の弁護士が依頼者とともに現地の法律事務所で(あるいはオンラインで)面談を行い、当該事案を任せるに足りる弁護士かどうかを判断します(海外の法律事務所の選定をBeauty Contestと呼ぶことがあります)。また、不当な報酬の請求がなされるなどのトラブルがないよう現地の法律事務所を監督し、全体的なコントロールを行います。

訴訟戦略の立案

裁判制度が違う海外において、訴訟・紛争において、戦略の見極めはひときわ重要なファクターとなります。裁判の目的ひとつとっても、相手方が本気で裁判を争うつもりであるのか、和解金が目的なのか、質問事項書(interrogatory)や証人尋問(witness examination)を通じて情報を取得することが目的なのかなど様々な場合があり、こちらが取るべき対応も変わってきます。

ディスカバリー対応

アメリカを始め、英米法の国では、ディスカバリーの制度(証拠開示手続)があります。会社に所在する文書やその記載内容は相手方にも開示されるものとして、早期から対応を検討することが必要です。重要な証拠となりうる書類を判別し、不要な書類の作成をしないなど、制度に則した証拠の管理を履行します。リティゲーションホールド(litigation hold)の手続きをとることで会社が証拠となるデータを不注意に廃棄することのないよう注意する必要があります。

スケジュール管理

海外での訴訟の場合、裁判所が主張書面や証拠の提出期限を定め、その起源に遅れた主張や証拠については受け付けないことが多くあります。訴訟期日管理は国際訴訟において極めて重要です。当事務所は、訴訟手続き全体を通じて期日の管理を行い、証拠や主張書面の提出が遅れないように注意していきます。また、宣誓供述書などの証拠の作成についても期限に注意しながら十分な余裕をもって作成します。

現地法令の調査・報告

国際訴訟・紛争においては、現地の法制度と今後の手続を理解し、訴訟におけるリスクの大小を知ることが必要です。当事務所では現地における民法や会社法などの実体法と、訴訟手続法の両方についての調査を行い、現地の法令についての理解をしたうえで、依頼者に対してアドバイスを行います。

現地弁護士とのコミュニケーション

国際訴訟・紛争においては、齟齬なく現地の法律事務所に依頼者の意向を伝えることが基本です。戦略、和解、手続きといった全ての局面を有利にコントロールするために、当事務所の弁護士が現地の弁護士と直接に電話やeメールで法律用語を適切に使用したコミュニケーションを図ります。現地の弁護士とのコミュニケーションの内容は全て日本語に翻訳し、依頼者に伝えます。

証拠の作成・デポジションへの対応

現地の裁判所に提出する証拠や宣誓供述書を英文で作成します。日本語の証拠については英文に翻訳し、翻訳証明書を作成します。必要により公証人の認証を得ることになります。また、英米法における法廷外での証人尋問(デポジション)について、準備から立会まで一連の流れに対応します。会社の代表者や担当者による宣誓供述書の作成など証拠の作成は、国際訴訟において極めて重要なものであるにもかかわらず、日本で対応できる弁護士が極めて限られています。当事務所では事件が係属する裁判所のフォーマットに対応する宣誓供述書の作成を行うなど、裁判所に提出する証拠の作成を行います。

訴訟・仲裁手続きにおける専門家証人

知財侵害の有無や損害額の算定には、専門家証人の意見書が重要です。当事務所から法律、会計、医療、製品についての各種の専門家に依頼し、依頼者の主張をサポートする意見書を作成します。

外国判決の承認執行

外国で勝訴判決が得られた場合、被告の財産がその裁判所の管轄内にあれば、当該判決により直ちに差押えやその他の執行手続きを行うことになります。被告の財産が判決言渡しの国とは別の国に所在する場合は、被告の財産が所在する国の裁判所に対して外国判決の承認申し立てを行い、承認決定を得た上で、資産の差押を行うことになります。外国判決の承認決定の取得や執行手続きについては、専門家の意見が不可欠です。当事務所では、外国判決の承認決定の取得や日本国内での執行手続(資産の差し押さえ)なども行います。

弁護士費用の割引制度

国際紛争の解決に関する業務については、原則としてタイムチャージによる請求となりますが、顧問先企業については、国際紛争に関する法律相談料の他、訴訟支援、和解交渉や書面作成に関する弁護士報酬についても通常の場合よりも2割のディスカウントを受けることができます。詳細については、栗林総合法律事務所のお問い合わせフォームからお問合せください。