• 2020.09.01
  • 国際紛争

外国からの不当請求・不当クレーム

事案の概要

当事務所の顧問先のI社は、海外のメーカーから製品代金100万円を支払うよう請求を受けましたが、全く心当たりのない請求でした。そこで当事務所に相談に来られ、当事務所からI社は契約を締結したことはなく、何ら責任をおうものではないことを英語で通知したところ、その後一切請求は来なくなりました。

栗林総合法律事務所のサービス内容

当事務所では、依頼者からの聞き取りを行い、相手方に対する回答案を英語と日本語で作成しました。日本語のものは、依頼者用で、依頼者の方で内容をよく理解してもらい、必要に応じて内容の修正などを行うためのものです。

海外からの不当請求への対応

海外の取引先などから、不当なクレームや請求がなされることも多くあります。日本の会社としては全く心当たりのないことであったり、その事実関係についてある程度は把握していても、自分たちの責任ではないと考えているにもかかわらず、請求がなされた場合、不当請求、不当クレームであるとして、頭に来ることが良くあります。このような場合でも、場合によっては、先方が異なった事実認識のもとに、日本の会社の責任を追求している可能性もあります。その場合、日本の会社が請求を全く無視して何らの反応をしない場合には、先方としてはやむを得ず海外の裁判所に対して損害賠償請求訴訟を提起してくるということも考えられます。日本の会社が損害賠償請求訴訟に一切対応しない場合には、欠席判決がなされて、将来その判決が日本で強制執行される可能性もないとは言えません。従って、海外の会社から明らかに不当と思われる請求やクレームがなされた場合であっても、そのまま放置しておくのは好ましいことではなく、きちんとした反論書(Rebuttal Letter)を提出しておくのが好ましいと思われます。その反論書自体が将来証拠となってくることもあります。

パテントトロールからの特許侵害の請求について

海外の会社からの不当請求には特許権侵害についての請求も多くあります。当事務所でもドイツの会社から当事務所の顧問先に対して特許権侵害の主張がなされた事例や、アメリカのパテントトロールの会社から特許権侵害によるライセンス料の支払いを求められた事例、イタリアの会社から特許権侵害の主張がなされた事案等があります。パテントトロールからの請求である場合を含めて、先方の主張が正しいものであるかどうか、特許権の侵害があるかどうかについての判断を行う必要があります。栗林総合法律事務所では、海外の企業からの特許侵害の主張に対して、当事務所と提携関係にある弁理士事務所に海外特許の調査を依頼し、意見書を作成してもらうことも多くあります。

ドイツの会社からの特許侵害の主張

当事務所の顧問先がドイツの会社(A)から商品を仕入れ、日本で販売することを予定していたところ、ドイツの別の会社(X)から日本の会社が扱おうとしている商品はドイツにおける特許を侵害するものであるとの通知文書が送られてきました。当事務所では、依頼者からの相談に応じ、ドイツの特許明細を入手し、特許の出願事前から日本でその技術が広く使われており、特許は無効である旨の反論書を作成しました。ドイツの会社(X)からはそれ以上の連絡はありません。本件はおそらくドイツ国内においてA社とX社との間に紛争が生じており、A社による日本への輸出を制限するために日本の会社に通知がなされたものであると推測されます。

イタリアの会社からの特許侵害の主張

当事務所の顧問先がイタリア(A社)から製品を輸入していたところ、別のイタリアの会社(X社)から当事務所の顧問先が扱う製品はX社の特許を侵害するものであるとのクレームがなされました。また、その特許については、日本国内でも出願がなされていました。当事務所では提携先の特許事務所と特許の内容についての分析を行い、特許の抵触がないことについての特許事務所による意見書を作成してもらいました。また、日本国内において当該特許を有する者との間において和解を成立させ、当該製品の輸入が問題なく行われるよう対応しました。

不当請求や不当クレームへの対応

栗林総合法律事務所では、このような海外からの不当請求や不当クレームに対する反論書の作成や代理人名義での送付についても行っております。また、特許権侵害の主張については、当事務所の提携弁理士と協働し、先方が主張する特許の願書(英文)を取得し、反論書の提出前に侵害の有無を事前に調査しています。必要な場合には特許侵害の有無について弁理士からの意見書を取得することも可能です。

Rebuttal Letterのサンプル

20 March, 2020
ABC Law Firm

We are legal counsels of XXX corporation (the “Client”). We are referring to your letter dated 10 March, 2020.

Based on the explanation of the Client, we assume there are some misunderstanding between YYY and the Client. The Client denied that it owes YYY any money at all. According to the Client, the Client hired YYY to provide the delivery service of the Client’s products, but YYY failed to do any of the job agreed upon, and in fact did not do any job at all. As a result, the Client had to hire another service provider to do the jobs YYY had originally agreed to do. We hereby enclose a receipt for the delivery service performed by the other provider. Should you have any questions, please do not hesitate to contact us at any time. As we represent the Client, please do not contact to the Client directly.

Rebuttal Letterの翻訳文

私たちはXXX会社(以下、依頼者といいます。)の代理人弁護士です。私たちは貴殿からの2020年3月10日付けの手紙に対する返答を書いています。

​依頼者からの説明では、YYYと私どもの依頼者との間に誤解があるのではないかと推測しています。私どもの依頼者は、YYYに対して金銭の支払義務があることを否定しています。私どもの依頼者によれば、私どもの依頼者はYYYに対して依頼者の商品を配送するようお願いしていますが、YYYは私どもの依頼者との間で合意した仕事を一切行いませんでした。その結果、私どもの依頼者はYYYが当初約束していた業務を行うために別の受託業者を雇わなければならないことになりました。私たちは別の業者が行った配送サービスに関する領収書を同封いたします。ご質問がございましたらいつでも当職らあてにご連絡ください。私どもが依頼者を代理していますので、私どもの依頼者に対して直接連絡を取られることはお控えください。

企業法務の最新情報をお届けする無料メールマガジン

栗林総合法律事務所 ~企業法務レポート~

メルマガ登録する