• 2024.02.16
  • 外資系企業の法務

アメリカ企業に対し日本市場の規制に関するメモランダムを作成した事例

事案の概要

アメリカの会社が日本の会社に対して医療機器に関するプログラム(ソフトウェア)をライセンスするに際して、日本の薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律)の規定に違反しないかどうかについての調査を行い、簡単なメモランダムを作成の上、英語で報告することを求められました。

英文メモランダムの作成のポイント

従前、日本の薬事法では、ソフトウェアのみでは薬事法の規制対象とされず、ハード部分に組込んだ場合に始めて医療機器に該当するものとして薬事法の規制対象とされていましたが、薬事法が改正され、薬機法になった時に、医療機器プログラムについても単体で薬機法の規制対象とされることになりました。そこで、依頼者が日本の会社に対してライセンスするプログラムが医療用機械に該当する場合には、ソフトウェアのライセンス自体が「製造販売」に該当し、薬機法上の許可や届け出の対象となります。

栗林総合法律事務所における作業の結果

栗林総合法律事務所で調査したところ、薬機法の施行により、医療用プログラム自体が医療機器として薬機法の規制対象とされていることが確認されました。また、当該プログラムが薬機法で規定する医療機器に該当する場合は、そのソフトウェアを日本企業に対してライセンスすることも「製造販売」に該当し、厚生労働省への届出や厚生労働省からの許可を得る必要があることが分かりました。但し、医療機器については、一般医療機器、管理医療機器、高度管理医療機器に分かれ、国際分類としてもクラスIからクラスIVに分かれているところ、一般医療機器(患者の生命身体への影響がほとんどないもの)については、薬機法の規制対象とならないことが判明しました。本件でアメリカの会社がライセンスしようとしているソフトウェアも、血液分析などの目的で利用されることを意図するものではありましたが、患者の生命身体に影響を及ぼすものではないと考えられました。そこで、当該ソフトウェアは国際分類のクラスIに該当するもので、日本では一般医療機器に該当し、薬機法の規制対象外であることを英語にまとめ、メモランダムの形で提出しました。

栗林総合法律事務所のサービス内容

栗林総合法律事務所では、外国法人からの依頼により、日本の法令による規制についての調査を行い報告書の作成を行っています。報告書については、法律意見書(Legal Opinion)の形を用いることもありますし、メモランダム(Memorandum)の形で提出することもあります。法律意見書やメモランダムについては、契約書の調印に当たり、会社が有効に設立され存在するものであるかどうか、代表者が当該行為を行う代表権限を有するかどうか、契約調印を行うものが代表者本人で間違いないかどうかについて意見を表明する典型的なメモランダム(意見書)のこともあれば、第三者割当増資に関する意見書のように会社法や金融商品取引法に合致しているかどうかを確認するものもあります。また、依頼者からの要望がある場合には、各種の法令の内容を紹介し、会社が業務を行うに際してどのような許認可の取得や業法の遵守が必要かを定めるものもあります。このようなメモランダムや法律意見書の対象となる法律には、不正競争防止法、景表法、独占禁止法、下請法、薬機法、特許法、商標法、消費者契約法、労働者派遣法、金融商品取引法、建築業法、酒税法、古物営業法、質屋営業法、宅地建物取引業法、風営法、旅館業法などがあります。このように、日本で新しく事業を開始する外国法人や外国法人の子会社にとっては、当事務所から法律意見書やメモランダムを取得することにより、日本で事業を行う場合の法規制について包括的に理解することが可能となります。また、業法だけでなく、独占禁止法や不正競争防止法、消費者保護法など経済法についての理解も可能となります。当事務所は外国法人の依頼者の皆様からのご依頼がある場合には、古物商、派遣法、風営法などの各種届出も代行して行います。