ニューヨーク州の裁判所に対して補助的財産管理人選任申立てを行った事例
事案の概要
日本で生活している日本人の男性(60歳)が亡くなったところ、相続財産の中に、アメリカの金融機関であるシティ銀行に1200万円の預金があることが分かりました。奥様の話では、アメリカに転勤していた時に積み立てた資金ではないかとのことでした。共同相続人の一人である奥様から、アメリカ銀行預金の解約をして、払戻金を日本に送金する手続きのサポートを依頼されました。
プロベイト手続き申立てのポイント
アメリカに住所を有していない日本人が亡くなった時には、アメリカ国内にある相続財産の整理が必要となります。アメリカの銀行預金の払い戻しにおいてプロベイト手続きが必要かどうかは、州ごとに異なる法律によって定まります。また、金融機関から財産管理人選任決定書の交付を求められたときは、当該州における法律の規定とは関係なく、財産管理人の選任手続きをとることが必要となってきます。Grant of Administratorという書類がないと、銀行預金の解約に応じてくれないからです。
栗林総合法律事務所による作業の結果
栗林総合法律事務所では、奥様(生存配偶者)からの依頼により、ニューヨーク州のSurrogate Court(遺言検認裁判所)に対して補助的財産管理人選任申し立て(ancillary administration)を行い、当事務所が指定した弁護士に補助的財産管理人になってもらうことができました。その後、当該補助的財産管理人を通じてシティ銀行から預金全額の払い戻しを受け、無事に日本に送金いただくことができました。
栗林総合法律事務所のサービス内容
アメリカにおける遺産相続においては、日本のように法定相続人が任意に財産の処分を行うことはできず、プロベイト手続き(遺言検認手続き)や相続財産管理人選任申立て手続きにより財産管理人を選任し、その財産管理人が裁判所の管理のもとに遺産の管理・分配を行うことになります。アメリカにおけるプロベイトの手続きにおいては、単に財産管理人の選任を申し立てるだけでなく、被相続人の死亡診断書、戸籍謄本、相続人に関する意見書等様々な書類の提出が求められます。また、これらの書類については、翻訳文をつけるだけでなく、文書作成名義についての公証人の認証や領事館での証明書が求められることがあります。当事務所では、日本にいる相続人を代理して、海外の金融機関との連絡調整、プロベイトや財産管理人選任申立ての要否の判断、プロベイトや財産管理人選任手続きにおける代理人の選定、Surrogate Courtに提出する各種書類の作成などを行います。