• 2024.02.08
  • 人事労務

労働審判で和解を行った事例

事案の概要

当事務所の顧問先であるソフトウェアの開発会社(A社)では、新規に営業職として新人を採用したところ、顧客との待ち合わせに遅刻するなど時間にルーズで、また採用時の面接で話されていたのと異なり、ソフトウェアの開発に関する知識が極めて乏しいことが判明しました。A社の就業規則では、雇い入れ時から3カ月間の試用期間が設定されていることから、A社社長としては、試用期間中の解雇をしたいとして当事務所に相談に来られました。当事務所では、試用期間開始後14日間は即時解雇できるが、その後は30日分の予告手当の支払が必要であること、試用期間中の解雇であっても解雇の相当性と合理性が必要であることを説明しました。その後、A社が、当該従業員の試用期間満了時をもって、30日分の予告手当を支払って、解雇を行ったところ、当該従業員の側から、労働審判の申立てがなされました。当事務所は、労働審判手続きでA社を代理することになりました。

労働審判のポイント

労働審判では、審判開始通知から40日以内に第1回の審判期日が開かれることになっています。審判期日は合計3回まで開かれる予定ですが、事実関係に関する主張は第1回期日までに行っておくのが原則です。第1回審判期日までにどのような準備ができるかが重要ですので、時間を無駄にしないよう審判に向けた準備をしていくことが重要となります。

栗林総合法律事務所による業務の結果

栗林総合法律事務所では、会社代表者からのヒアリングや関係資料を精査し、当該従業員の解雇が社会的に相当であり合理的であることを裏付ける主張を構築するとともに、関係証拠の作成を行いました。A社の主張を裁判所に理解してもらうために、主張書面については、十回以上書き直しを行い、細かな点まで詳細に検討を加えています。第1回の労働審判期日では、審判官から双方の当事者に対して和解の提案がなされました。従業員の側からは、解決金として給与の12か月分の支払を行う事の提案がなされましたが、会社の側からは、小さな会社で支払い能力も十分にないことなどを説明し、3か月分の給与相当額を支払うことの提案を行いました。その後、審判官から従業員に対する説得が試みられ、従業員の側から6カ月の給料相当額の提案がなされました。会社の側では、再度和解案の検討を行ったうえ、4か月分の支払を行う事の提案を行いました。最終的に審判官を交えて何度か協議がなされ、4か月半の給料相当額を支払うことで和解が成立しました。労働審判は、短い期間に3回まで開かれるのが多いですが、本件では、第1回期日に双方の当事者が出席していたことから、何度か協議が繰り返され、第1回期日に和解が成立することになりました。

栗林総合法律事務所のサービス内容

栗林総合法律事務所は、労働審判で会社を代理する経験を多数有しています。労働審判では、開始の通知がなされてから40日以内に第1回の審判期日が開かれることや、書面の提出期限が第1回審判期日前に定められることから、実質上2週間程度の準備期間に審判の準備を行う必要があります。当事務所では、関係者からのヒアリングや証拠書類の検討、eメールのやり取りなどを検証し、会社の側として主張すべきストーリーの構築を行います。また、通常のケースでは、主張書面を繰り返し検討し、如何に分かりやすく説得的な文章にできるかを検討します。労働審判期日では、事実関係に関する質問にその場で回答する必要がありますので、事前に事実関係の把握をしっかり行っておく必要があります。また、多くの事例では、会社の代表者や担当者と一緒に期日に出席し、和解案の内容についてその場で検討し、回答することが求められます。もちろん回答を持ち帰って次回に回答することもできますが、審判期日の回数が限られていることから、和解を考える場合には、できるだけその場で回答できるのが好ましいと言えます。栗林総合法律事務所では、労働審判所からの和解提案についてもそのまま応じるのではなく、過去の事例や、当該事例の特殊性なども考慮し、できるだけ会社に有利な和解案になるよう交渉していきます。