• 2024.02.08
  • 人事労務

不正行為の調査を行った事例

事案の概要

当事務所の依頼者の会社で金庫に保管してあったはずの数十万円の現金が紛失していることが判明しました。金庫の開錠を行うことができるのは、経理を担当していた5名の職員のみです。そこで、依頼者の代表者が自ら調査を行うことにし、5名の職員全員から聞き取りを行ったところ、現金の持ち出しが可能だったのは1名の職員のみであることが判明しました。依頼者の代表者は、その職員に横領の事実があったかどうかを正直に話すよう何度も話し合いをしましたが、結局職員が事実を認めることはありませんでした。なくなった金銭は数十万円と決して大きな金額ではありませんが、依頼者の代表者は、このまま放置しておくことはできないということで、当事務所に相談に来られました。

不正行為の調査のポイント

会社の内部において不正行為があった時は、会社代表者が自ら調査委員会を立ち上げて不正行為の存否、原因、再発防止策などを調査し、対処方法について検討することが多いと思われます。また、複雑な事案においては外部の第三者委員会を立ち上げて、第三者委員会による不正調査を実施することもあります。会社の社員は、民間企業ですので、犯罪捜査を行う権限を有しているわけではなく、証言を強制することもできず、不正行為の調査においても従業員の自発的意思に基づく任意の調査に限定されます。そのような中で不正行為の事実を明らかにしていくには、客観的証拠の収集や、従業員への質問の仕方を工夫するなど、慎重な準備を必要とします。

栗林総合法律事務所による業務の結果

会社から提出された客観資料を拝見すると、会社の主張するように、現金が入れられてから紛失が判明するまでの24時間の時間内に、その金庫を開錠することができた可能性があるのは、当該職員しかいないと思われました。本人を事務所に呼んで質問した時にも、「自分は、お金を取っておらず、一切犯罪行為は行っていない。」ということで完全否定をしていました。栗林総合法律事務所では、①会社の現金がなくなっているのは事実であり、もしその原因が判明しない場合は、警察に対して被害届け出を提出せざるを得ないこと、②警察による捜査の結果犯罪事実が明らかになった場合には、逮捕され、場合によっては実刑判決を受ける可能性もあること、③その場合には新聞などで名前が開示され、親族にもその事実が知られる可能性があること、④現段階で犯罪事実が判明した場合は、特に刑事問題とはせず、穏便に済ませたいと考えていることを説明しました。当該社員としては少し悩んでいたようですが、このまま否認していた場合に起こりえる状況について理解した上で、自分が金銭を取ったことを認める供述をすることになりました。当該従業員からは、横領した金銭については、分割払いにはなるものの、全額返済を行うことを確認する合意書にサインしてもらうことになりました。

栗林総合法律事務所のサービス内容

従業員による横領や背任行為は、会社の規模を問わず、多くの会社で見られます。従業員の横領は会社の倒産にも直結する重大な問題ですので、厳正な調査を行い、関係者に対する処分を行うことが重要です。栗林総合法律事務所は依頼者の皆様からの依頼により不正調査を行い、報告書を作成するとともに、関係者の処分についてのアドバイスを行います。不正調査は、刑事事件に該当する行為だけでなく、会社法違反など、民事事件となる事実関係についての調査も含まれます。第三者委員会の設立を含め、不正行為の調査についてお悩みの皆様は是非栗林総合法律事務所にお問い合わせください。