• 2024.01.10
  • 国際紛争

アメリカの会社からの販売代理店契約解除の申入れについて和解した事例

国際紛争事案の概要

当事務所の顧問先のK社は、アメリカのサプライヤーから機械機器の独占的販売代理店に指名され、十数年間にわたって日本で機械製品の販売を行ってきました。ところが、サプライヤーであるアメリカ企業から突然契約を解除する旨の通知を受け取ることになりました。アメリカのサプライヤーから供給を受けている機会製品はK社の売り上げの3分の1以上を占めており、この販売ができなくなることはK社にとって致命的な損失をもたらすことになります。そこで、K社の社長は、今後の進め方を確認するために、栗林総合法律事務所に相談に来られることになりました。

栗林総合法律事務所による紛争解決

当事務所では、K社の担当者からの聞き取りも行いましたが、K社としては販売代理店契約の解除を申し込まれる理由については全く心当たりがないとのことでした。おそらく、アメリカのサプライヤーとしては、直接日本の顧客に販売することで、より高い利益率を確保できることや、仮に日本の商社を間に入れるにしても、サプライヤーの意見を完全に聞いてくれる商社を使うことにより、最大限のマージンを獲得することを目的としているのではないかと思われます。当事務所では、日本の最高裁判所の判決において、長期継続的な契約の解除については、合理的理由を要するとの判断がなされていることを理由に、アメリカのサプライヤーによる契約解除は、合理的理由を欠き無効であることを主張しました。アメリカのサプライヤーの側にも日本人の弁護士がついたことから、弁護士間での協議を行い、契約解除については了解するものの、1年間の猶予期間を設け、その期間が終了した段階で契約を終了させることや、在庫品の処分についても協力することなどを内容とする合意書を作成することになりました。

国際紛争解決のポイント

日本企業が海外のサプライヤーの販売代理店となり、日本で商品の販売を行っているケースは多くあります。販売代理店は、商品の知識を得たり、店舗の改造に多額の投資を要するなど、多くの初期投資を行っており、新規顧客の獲得などにおいても大きな貢献をしています。もしその後、サプライヤーが突然契約解除をすることになると、販売代理店は投資資金の回収ができなくなり、大きな損害を被ってしまうことになります。一方、ほとんどの販売代理店契約書では、契約期間が1年間など短く設定されており、サプライヤーは理由なしに契約解除ができる旨、契約書に記載されています。販売代理店としては、契約継続を主張することについては、大きな制約がありますが、日本の最高裁判所の判例や、独占禁止法の運用などを活用して、粘り強く交渉していくことで、双方が合意できる妥協点を見出していける可能性もあります。

栗林総合法律事務所のサービス

栗林総合法律事務所では、国際取引を行う当事者間の意思疎通の齟齬や商慣習の違いによって生じる様々な紛争について、日本企業の代理人として依頼者の立場を相手先企業に対して明確に伝え、英語による協議交渉を行います。協議交渉の結果、どうしても折り合いがつかない場合は、地位確認の仮処分を申し立てたり、民事調停の申し立てを行うなどして、司法手続きを通じて日本企業の立場を主張していくことになります。また、契約期間、引継ぎ、競業取引、在庫の処理、ブランドの使用、商品の仕入などについて新たな合意がまとまる場合には、その条項を和解契約書(Settlement Agreement)や契約解除合意書(Termination Agreement)として、契約書の形にまとめていきます。日本企業としては、海外のメーカーから販売代理店契約終了や販売代理店契約解除の申入れがなされたとしても、直ちに受け入れるのではなく、日本企業の立場を粘り強く主張していくことが重要と考えられます。栗林総合法律事務所では、国際紛争の解決に関する業務については、原則としてタイムチャージによる請求となりますが、顧問先企業については、国際紛争に関する法律相談料の他、和解交渉や書面作成に関する弁護士報酬についても通常の場合よりも2割のディスカウントを受けることができます。詳細については、栗林総合法律事務所のお問い合わせフォームからお問合せください。