遺留分侵害額請求を行った事例
事案の概要
当事務所の依頼者Xには両親と弟Yがいましたが、両親と仲が悪く長い間絶縁状態となっていました。Xの父親は遺言書を残して亡くなりました。Xの父親の遺言書では、全財産は配偶者である奥様に相続させるとされており、Xに対する相続分はありませんでした。Xは本来は子供として4分の1の法定相続分を有しています。そこで、Xは、母親を相手方として遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)を起こすことにしました。栗林総合法律事務所は、Xからの依頼により、遺留分侵害額請求を代理することになりました。
遺留分侵害額請求のポイント
被相続人(亡くなった人)が遺言により相続財産を相続人の一部の者や、第三者に遺贈することを記載していたとしても、一定の法定相続人(配偶者、子供、親)は、法定相続分の2分の1の範囲内で遺留分を請求する権利を有しています。2019年7月施行の民法改正前は、遺留分減殺請求と呼んでいましたが、2019年7月施行の民法の改正により、遺留分侵害額請求と呼ばれるようになりました。遺留分侵害額請求は1年の時効期間がありますので、相続が開始したこと及び遺留分が侵害されていることを知ってから1年以内に請求を行う必要があります。但し、1年以内に訴訟提起まで行う必要はなく、内容証明郵便など記録の残る書類により請求するだけで足ります。遺留分侵害額請求で請求できる金額は、法定相続分の2分の1となります。配偶者と子供二人が相続人の場合、子供の法定相続分は4分の1になりますので、遺留分の額は8分の1になります。遺留分侵害額請求は、裁判外で行使することもできますし、任意の支払いを受けることができない場合は、家庭裁判所に対して調停を申し立てることもできます。調停による解決ができない場合は、地方裁判所に対して遺留分侵害額請求訴訟を提起することになります。
栗林総合法律事務所における作業の結果
Xから相談を受けた栗林総合法律事務所では、遺留分侵害額請求についての説明を行ったうえ、お母様に対する遺留分侵害額請求書をドラフトすることになりました。遺留分侵害額請求は1年以内に行使することが必要ですので、遺留分侵害額請求を行ったことを客観的証拠として残しておかないと後日時効による権利の消滅を主張される可能性がないとは言えません。そこで、内容証明郵便による請求を行うことにしました。本件では、当方から内容証明郵便を送付した後1か月余りの期間が経過しても、相手方(母親)からの連絡はありませんでした。そこで、依頼者とも相談の上、家庭裁判所に対して調停を起こすことになりました。家庭裁判所では、当方の主張に理由があるとして、相手方(母親)に対して正確な財産額を開示するよう求めるとともに、相手方(母親)に対して相続財産の8分の1に相当する金銭を支払うよう説得してもらうことができました。その結果、家庭裁判所における調停が成立し、遺産の8分の1に相当する1000万円の現金の支払いを受けることができました。
栗林総合法律事務所のサービス内容
栗林総合法律事務所では、遺留分侵害額請求を多く取り扱っています。遺留分侵害額請求を行うためには、まず被相続人がどのような遺言書を残しているかを確認し、いくらの権利侵害があるのかを確認する作業が必要となります。栗林総合法律事務所では、依頼者を代理し、公証役場に被相続人の公正証書遺言が存在するかどうかを確認します。公正証書遺言の有無については調査が可能ですので、全国のどこの公証役場で作成された遺言であっても、見つけ出すことが可能です。また、不動産の有無については、不動産登記簿謄本により確認することができます。銀行預金や証券口座の残金などについては、弁護士法23条照会により、東京弁護士会から各金融機関に問い合わせを行うことで確認することができます。口座の有無が確認できた場合は、残高の照会だけでなく取引履歴などの調査も行います。遺留分侵害額請求の主要な争点は、被相続人の財産がどれだけあるかという点にあります。栗林総合法律事務所では、被相続人の相続財産の調査も行います。遺留分侵害額請求をお考えの皆様は、是非栗林総合法律事務所にお問い合わせください。