監査役
監査役の選任
監査役は株主総会において選任されます(会社法329条1項)。監査役の任期は原則として4年とされています(会社法336条1項)。
監査役の職務
監査役は、取締役の職務の執行を監査し、監査報告書を作成しなければなりません(会社法381条1項)。監査役の監査機能を実効的なものにするため、監査役は、いつでも、取締役や使用人に対して事業の報告を求め、業務及び財産の状況を調査することができるとされています(会社法381条2項)。また、職務執行上の必要がある場合は、子会社の業務及び財産の状況を調査することもできるとされています(会社法381条3項)。
取締役への報告義務
監査役は、取締役が不正行為をし、または不正の行為をする恐れがあるとき、法律や定款の規定に違反する事実、著しく不当な事実があると認める場合は、取締役会に報告しなければならないとされています(会社法382条)。
取締役会への出席義務
監査役は、取締役会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならないとされています(会社法383条1項)。また、取締役会への報告が必要な場合において取締役会が開かれない場合は、取締役に対して取締役会の招集を請求することができ、取締役会が開催されない場合は自ら取締役会を招集することができることになっています(会社法383条2項、3項)。
株主総会に対する報告義務
監査役は、取締役が株主総会に提出しようとする議案、書類その他法務省令で定めるものを調査しなければなりません(会社法384条)。調査の結果、法令又は定款に違反し、又は著しく不当な事項があると認めたときは、その調査の結果を株主総会に報告しなければなりません。
監査役により取締役の行為の差し止め
監査役は、取締役が監査役設置会社の目的の範囲外の行為その他法令又は定款に違反する行為をし、これらに違反する恐れがある場合は、当該取締役に対し、その行為をやめるよう請求することができます(会社法385条)。違法行為の差止請求は取締役に対して直接行うこともできますし、裁判所に対して違法行為を行わないよう求める訴訟を提起することもできます。また、急いで決定をもらう必要がある場合は、裁判所に対して仮処分の申し立てを行うこともできます。
取締役と会社との訴訟における会社の代表
次の場合は、監査役が会社を代表して訴訟を追行することになります。
1 監査役設置会社が取締役に対して訴訟を提起する場合
2 取締役が監査役設置会社に対して訴訟を提起する場合
3 株主から取締役の責任追及の訴えを行うよう請求がある場合
監査役の報酬
監査役の報酬については、定款に規定がある場合を除き、株主総会の決議で定めるとされています(会社法387条1項)。監査役が2人以上いる場合において、株主総会で総額が定められた場合、各監査役の報酬については、監査役の協議で定めることになります(会社法387条1項)。
監査範囲の限定
株式の譲渡制限のある会社(非公開会社)については、定款の定めにより、監査人の監査の範囲を会計に関するものに限定することができます(会社法389条1項)。この場合、監査役は監査報告を作成すること、取締役が株主総会に提出しようとする会計に関する議案、書類その他のものを調査し、その調査結果を株主総会に報告しなければならないとされています(会社法389条3項)。
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