Demand Letter(未払代金支払請求書)
Demand Letter
海外の取引相手が代金を支払ってくれない場合、日本企業としてはそのまま放置をしておくことができず、支払の催告を行う必要があります。日本企業としては、金銭の支払いを求める催告状(Demand Letter)を作成し催促する必要があります。Demand Letterは正式の催告文書です。弁護士が代理人となって作成することもありますが、会社が自ら催告書を作成し、会社の名前で提出することもあります。
Demand Letterを作成する場合
Demand Letterを作成する場合には次のような場合があります。海外の取引先からの入金が確認できない場合、経理担当者から日常的に提出される場合もあります。いずれにしても将来紛争に発展していく可能性を秘めていますので、慎重な対応が必要です。
・契約代金を支払うお金がない場合
・契約代金の支払いを忘れている場合
・契約代金の額について争いがある場合
・契約代金の支払義務について争いがある場合
・他の紛争があり支払いを留保している場合
・相手方が相殺権の行使を検討している場合
案件の事前確認
Demand Letterを作成する場合、関連資料を確認して案件の内容を事前に確認させていただく必要があります。当事務所では、eメールでのやり取りや契約内容などを確認することで、当該請求が間違いないもので、法律的根拠があるものであるかどうかを事前に判断させていただきます。法的根拠がないと思われる案件についてはお断りすることもあります。
法律事務所のLetter head
法律事務所の名前でDemand Letterを作成する場合、法律事務所の英文レターヘッドを使用した文書をボンド用紙に印刷して作成することになります。英文レターヘッドは法律事務所ごとにそれぞれのデザインで作成されており、レターヘッド付きの文書で出すことでよりフォーマリティの高い文書となり、将来の裁判における証拠価値も高いものとなります。
Demand Letter作成に要する弁護士報酬
海外の企業との紛争については、通常の法律業務と性質を異にする面があることから、タイムチャージによるお支払いをお願いすることが多くあります。顧問契約を締結いただいている顧問先の皆様については、一定の割引率が適用になります。また、簡単な催告状や注意文書の場合は顧問料の範囲の中で対応することもあります。スポットでの案件をご依頼いただいた場合は、タイムチャージによるお支払いをいただくか、案件ごとに決められた報酬(例えば着手金10万円、成功報酬10%等)をお支払いいただきます。この場合、当事務所との間で委任契約書に調印いただくことになります。
Demand Letterのサンプル
商品代金の支払い請求
December 21, 2019
Mr. Richard Davis
Fallen Construction Ltd.
100 Tall St.
New York, NY 12000
Re. Final Demand Letter
On behalf of our client Thompson Tacker Corp. (“Client”), we at Kuribayashi Sogo Law Office are writing to inform your company of an overdue payment owned to the Client. According to the sale and purchase agreement agreed upon August 20, 2018 between your company and the Client, your company owe $30,000 for the kitchen products sold from the Client to your company. The payment is currently 30 days overdue.
Unless you contact us immediately to discuss how your outstanding balance will be paid, we will be forced to pursue legal action to recover the debt which may leave your company liable to pay attorney’s fee, filing costs, and your credit history may be affected.
We hope that your company will address this issue immediately and that further action will not be required. However, if there is no response from your company, the Client has to take immediate legal action against your Company. If the above payment has already been made, please contact us so we can resolve the discrepancy.
Demand Letterの翻訳文
当事務所の依頼者であるThompson Tacker Corp(以下「依頼者」と言います。)の代理人として、栗林総合法律事務所は、本書面により、貴社から依頼者に対する支払いが遅れていることを通知いたします。貴社と依頼者との間における2018年8月20日付の売買契約書により、貴社は依頼者から貴社に販売されたキッチン用品の代金として3万ドルの支払義務を負っています。支払いは既に30日遅延しています。
未払い額をどのように支払うかについて直ちに連絡をいただけない場合は、法的手続きを検討せざるを得ないことになりますが、その場合は、弁護士費用、訴訟費用などの支払義務が発生し、貴社の信用にも影響が生じることになります。
当職らとしては、貴社が直ちに対応いただき、さらなる手続きを要しないことを期待しています。しかしながら、もし直ちにご対応いただけない場合は、依頼者としては貴社に対する訴訟提起を行わざるを得ないことになります。もし上記の支払いがすでになされているのであれば、記録の訂正を行いますので、直ちにご連絡ください。
納品遅延による損害金の支払請求
Demand Letterは催告状の一般的な名称ですが、単なる通知文とか、警告書というタイトルが用いられることもあります。通知文(Notice)の例としては次のようなものがあります。下記は商品の遅延が生じたことによる損害金の支払いを請求するものです。
NOTICE
I, as a legal counsel of Tacker Machine Manufacturing Company Inc. (hereinafter referred to as “Notifier”), hereby notify as follows. Notifier purchased items listed in exhibit A from your company based on the sales and purchase agreement dated on January 10, 2020. According to exhibit A, the shipment date was decided to be February 20, 2020. However, your company delayed the shipment date considerably, and large amount of damage was caused. Therefore, Notifier claims USD10,000 as compensation for damage caused by your delay of shipment. Notifier demand you to pay such amount within 10 days after the date you receive this notice. If you do not pay such amount by the date, Notifier will face no choice but to take certain legal actions unfortunately. Please contact me directly about all matters regarding this case.
Sincerely,
May 10, 2020
通知文の翻訳
タッカー・マシーン・マニュファクチャリング会社(以下「通知人」と言います。)の代理人弁護士として、本書をもって次の通り通知いたします。通知人は2020年1月20日付の売買契約書に基づき別紙Aに記載された商品を貴社から購入しました。別紙Aでは、商品の発送日は2020年2月20日とされています。ところが、貴社は商品の発送をかなりの期間遅延し、その結果過大な損害金が発生することになりました。そこで、通知人は、貴社に対して、商品の発送の遅延によって生じた損害金の賠償として1万ドルの支払いを行うことを請求いたします。通知人は、貴社が本通知書を受領されてから10日以内に支払うことを請求いたします。もしこの期日までに支払いがない場合は、通知人としてはやむを得ず法的措置を取らざるを得ないことになります。本件に関する全ての事項については、当職宛にご連絡ください。
2020年5月10日
法律事務所による催告状の作成
法律事務所が催告状を作成する場合、かなりのフォーマリティのある文書として扱われますので、将来の裁判においても重要な証拠として扱われます。また、法律事務所からの催告状を受け取った相手方としては、訴訟に巻き込まれることを考えますので、心理的プレッシャーは極めて強いと思われます。当事務所では、関係する契約書やeメールのやり取りなどから貴社の法的立場を分析し、法律上どのような請求が認められるのかを明らかにし、貴社を代理して相手方当事者に対して催告文(Demand LetterやWarning Notice)を送付します。これによりかなり高い確率で債権の回収を図ることができます。また上記の例のように先方の納品遅延による損害についても妥当な賠償金の支払いを受けることが可能となります。
企業法務の最新情報をお届けする無料メールマガジン