ヨーロッパの取引先との協議により和解金の支払いで解決した事例

事案の概要

当事務所の顧問先のK社は、ヨーロッパの取引先(A社)から、商品の引き取りを行い、商品代金2000万円を支払うよう要求されていました。商品代金の支払いがない場合には、商品売買基本契約書(Basic Sale and Purchase Agreement)に基づき、ヨーロッパの裁判所に訴訟を提起すると脅しをかけてきています。K社の代表は、多額の請求にどのように対応していいかどうか分からず当事務所に相談に来られました。

当事務所のサービス

ヨーロッパの会社と日本の会社の担当者との間でeメールによるやり取りがなされていましたので、途中から当職らの方でeメールの内容をチェックし、全て弁護士の方でドラフト(英文)を作成し、担当者は栗林総合法律事務所で作成した文案を自分のメールとして相手方に送付するようになりました。最初は、今回の紛争における主な争点が、当該商品について契約が成立しているかどうかであることを明確にして議論を進めることにしました。また、最悪の場合にヨーロッパで訴訟提起される可能性があることを検討しながらも、当方にお金がないことを主張し、仮に訴訟をしても、訴訟費用に見合った回収を行うことはできませんよというニュアンスを出すようにしました。その後、訴訟費用を考慮した場合、協議を続けていくことは無駄であることを相手方にも認識してもらい、150万円を3回分割で支払うことで合意することになりました。当方としてはあくまで売買契約は成立していないという立場ですので、和解条項も売買代金の一部の支払いではなく、示談による解決金の支払いとしています。栗林総合法律事務所で和解契約書(Settlement Agreement)を作成し、両当事者で調印の上、和解金の支払いを行うことで事案の解決を図ることができました。当事務所で、ご担当者からのお話の聞き取りを行ったところ、今回の取引については契約が成立しておらず、売買代金の支払いも必要ないのではないかと判断しました。一方で、これまでのメールのやり取りを拝見すると、先方(ヨーロッパの会社)は言葉巧みに、契約の成立を認めさせ、その上で和解金の支払いについて協議しようとしていました。当事務所が関与し出した段階では、日本の担当者は、ほとんど先方の主張を認めて、「いくら支払えば了解してくれるのですか。」と言うようなメールを出したりしています。栗林総合法律事務所では、先方の主張を認めた議論を行うのは極めてリスクが高いことを説明し、今後は必ず栗林総合法律事務所のアドバイスを受けてから先方にメールを送るよう体制を整えることにしました。依頼者の代表者としては、ヨーロッパの会社から、ヨーロッパの裁判所に対して訴訟提起されることを大変警戒していましたが、訴訟提起を恐れて弱気の交渉を行うことはかえってリスクが高いことを説明し、一定額の支払いを行うことで和解契約書の調印を目指すことを方針とすることを確認しました。その後は、eメールによる議論の状況も徐々に売買契約成立が争点として協議されるようになり、先方も敗訴のリスクや訴訟費用に応じた金額の回収可能性について検討するようになり、一定の解決の方向に歩み寄ってくることになりました。協議についての戦略決定が重要であることを示すケースと言えます。本件は、当事務所の顧問先の案件であり、顧問料の範囲内での解決となり、追加の報酬はいただいておりません。