• 2021.11.11
  • 国際紛争

アメリカの旅行会社から旅行代金全額の返還を受けた事例

栗林 勉

執筆者情報

栗林 勉Tsutomu Kuribayashi

栗林総合法律事務所の代表であり、米国ニューヨーク州の弁護士資格を有する国際弁護士。国内企業法務の他、国際的紛争の解決や国際取引に関する契約書の作成、中小企業の海外進出支援などの業務を幅広く扱っている。

国際紛争事案の概要

栗林総合法律事務所にご相談に来られた依頼者の方は、アメリカ(カリフォルニア州)の旅行会社が主催するツアーへの参加の申し込みを行い、旅行代金(40万円)を一括で振り込みました。カリフォルニア州の旅行会社の担当者は日本人で、旅行内容(現地のネイチャー体験)の説明も全て日本語で行ってもらえましたので、日本の旅行会社を通すことなく、直接申し込みを行うことができました。ところが、現地で生じた自然火災が原因で交通途絶が発生し、当該旅行の開催自体が行われないことになってしまいました。私どもの依頼者の方も、旅行の企画自体がなくなったという事で、旅行代金の返還を求めたところ、アメリカの旅行会社からは、担当者が不在であるなどと言ってたらい回しにされ、3か月以上たっているにもかかわらず、旅行代金の返還を受けられないままとなってしまいました。日本人の担当者も退職しているようです。そこで、当事務所に相談に来られ、当事務所が依頼者を代理して旅行代金の返還交渉を行うことになりました。

栗林総合法律事務所による紛争解決

当事務所では、依頼者から従前の経緯について詳細な説明を受け、担当者の氏名やこれまでのeメールのやり取りなどを見せていただきました。その結果、依頼者の話の内容は事実に沿ったもので、旅行会社は旅行代金の返還を拒否する理由は一切ないように思われました。そこで、当事務所では依頼者との間において委任契約を締結し、栗林総合法律事務所の着手金として5万円を受領するとともに、成功報酬金として回収金額の10%に相当する金額をお支払いいただくことを確認しました。当事務所では、アメリカの担当者に英語でメールを書き、旅行代金の返還遅滞は債務不履行に相当するため、直ちに旅行代金全額を支払いよう求めました(書面はeメールで発送しています)。英語のメールでは、事案の内容を明瞭に記載し、即時の対応がない場合には、日本において訴訟提起を行うことになることを明確にしました。その結果、1週間程度で、旅行代金の全額が依頼者の口座に振り込まれてきました。当事務所の依頼者は、当事務所に依頼してから1週間程度で、無事に旅行代金40万円全額の回収を行うことができました。

国際紛争解決のポイント

アメリカの旅行会社では、旅行者からの様々なクレームや相談事があり、全てのケースに迅速に対応できていなかったのではないかと推測されます。特に担当者の退職や交代が生じた場合に、十分な引継ができていないこともあります。日本の企業と異なり、セクションごとに独立して業務を行っているような場合には、他の社員が担当する案件については、誰も真剣に取り扱ってくれないということもあります。そのような中で、日本の旅行者から直接英語で手紙が到着しても、その事実確認や責任の所在の判定は後回しにされ、そのまま放置されてしまう可能性も高いと思われました。このケースでは、栗林が直接担当し、法律事務所のレターヘッドを用いて、ある程度フォーマリティのある文書で説明を行うことで、先方も放置していた場合には訴訟など大きな問題になることを認識し、早期に対応いただけたのだと思われます。最終警告文書をFinal Warning Letterと言います。依頼者の皆様が直接連絡しても真剣に対応してくれないケースで、弁護士から通知を行うことで紛争の解決に至ることはよくあります。アメリカに送付する文書の内容は日本語と英語の両方で作成し、事前に依頼者の皆様と検討の上で提出することになりますので、依頼者の皆様自身も協議の方法や内容について十分に理解・納得した上で手続きを進めることができます。

栗林総合法律事務所のサービス

栗林総合法律事務所では、国際取引を行う当事者間の意思疎通の齟齬や商慣習の違いによって生じる様々な問題について、日本企業の代理人として依頼者の立場を相手先企業に対して明確に伝え、取引条件の改善や明確化を求めていきます。また、取引の過程における紛争について双方の意見の対立がある場合には、双方の意見を聞きながら、当該環境下における好ましい妥協点はどこであるかを探っていき、当事者を説得しながら双方のビジネス上のメリットを最大化できる合意を導いていきます。単に、依頼者側の利益の立場からの一方的な意見の主張を行うのではなく、ビジネス上の観点から当事者双方に最も好ましい解決策を導き出し、それを両当事者に納得してもらうことが重要なポイントであると考えています。また、このような交渉を経て合意された内容については、法律上の権利義務であることを明確にするために、取引基本契約書の契約条項の改定や、メモランダム(Memorandum)やサイドレター(Side Letter)の形で書面化し、当事者双方の署名押印を取得していきます。これらの書面は全て英語で作成されます。また、場合によっては和解合意書(Settlement Agreement)として、双方の意見の相違がある中で、紛争解決がなされたことを明確にしておくこともあります。栗林総合法律事務所では、国際間の紛争における条件交渉の他、合意された内容を反映する各種書面のドラフトも行い、日本企業が巻き込まれる国際紛争について解決のためのサポートを提供しています。なお、国際紛争の解決に関する業務については、原則としてタイムチャージによる請求となりますが、顧問先企業については、国際紛争に関する法律相談料の他、和解交渉や書面作成に関する弁護士報酬についても通常の場合よりも2割のディスカウントを受けることができます。詳細については、栗林総合法律事務所のお問い合わせフォームからお問合せください。