• 2021.11.11
  • 国際紛争

中国の会社からの支払請求に対し、製品の瑕疵を理由に代金減額を行った事例

栗林 勉

執筆者情報

栗林 勉Tsutomu Kuribayashi

栗林総合法律事務所の代表であり、米国ニューヨーク州の弁護士資格を有する国際弁護士。国内企業法務の他、国際的紛争の解決や国際取引に関する契約書の作成、中小企業の海外進出支援などの業務を幅広く扱っている。

国際紛争事案の概要

当事務所の顧問先Sに対し、中国の輸出業者から商品代金1000万円の支払い請求がなされました。日本企業であるS社の代表者によれば、確かに中国企業から1000万円相当の商品の仕入を行ったが、日本に到着した商品を確認したところ、パッケージなどに欠陥が多く、日本市場での売却が難しいものであることが判明したとのことでした。そこで、日本の会社であるS社は、中国の会社から送られてきた商品については、問題が多く、S社としては商品の引き取りを行うことができない旨を説明し、商品代金の支払いを拒否してきましたが、中国の会社から、突然、商品代金全額の請求書が送られてきたものです。S社の代表者は、どのように対応すべきかを相談するため、栗林総合法律事務所に相談に来られました。

栗林総合法律事務所による紛争解決

当事務所では、顧問先の担当者及び代表者からそれぞれヒアリングを行い、その結果を聴取録取書として文書にまとめていきました。その結果、中国から送られてきた商品については、パッケージに破れが生じているものが多いこと、パッケージの印刷にずれが生じており、文字が二重に記載されていること、サンプル品や説明文書と異なり、商品の色合いも極端に原色に近いものであり、日本の消費者からは不快な印象で受け取られる可能性があることなどが判明しました。但し、商品の色合いについては、当事者の感覚的な問題もあり、それがすぐに商品の欠陥と言えるかどうかは必ずしも明らかではありませんでした。当事務所では、売買契約書、サンプル品、注文書(Purchase Order)をもとに、今回の輸入品が契約に違反するものであるかどうか、仮に契約に違反するものであった場合の当事者の権利義務関係についてレポートを作成し、依頼者に提出しています。また、依頼者からの求めに応じて、依頼者の代理人として、中国企業に対する反論文書(Rebuttal Letter)を英語で作成し、日本企業の代理人名で中国企業の担当者に送付しました。その後、中国企業からは、商品の品質には問題がないことや、代金を支払わないのは日本企業の側の債務不履行であることなどを主張するメールも送られてきましたが、何度かのメールのやり取りをする中で、概ね日本企業側の主張を認め、解決金をいくらか払うのであれば商品のキャンセルに応じるという話になってきました。当事務所は、中国企業とのやり取りの中で、約100万円(請求金額の1割)を一括で支払うので、今回の紛争については全て終わりにしてほしいと提案したところ、中国企業もその内容に同意し、和解が成立することになりました。中国企業との間では和解契約書(Settlement Agreement)を作成し、双方の代表者が調印しています。

国際紛争解決のポイント

国際取引においては取引対象となる商品の品質や外観に問題があるとして、紛争が生じることは多くあります。国内での紛争であれば、売主の方ですぐに他の商品と取り換えるなどの対応をし、大きな紛争になる前に解決できることが多いのに対して、海外取引の場合は、輸出許可を取り、クーリエなどの運送会社を通じて国外への輸出を行っていることから、リシップメントの許可も必要になるなど、すぐに商品の返品という事が出来ず、その取扱いについて問題となる事例が多くあります。また、商慣習なども異なる取引の中で、相手方の主張する品質問題や瑕疵の問題が、売主として本当に受け入れなければならないものであるのかはっきりしないという問題もあります。このような中で意見の相違が生じた場合は、双方の意見対立が先鋭化し、なかなか解決に至らないことも多くあります。しかし、一方で国際的訴訟になった場合には、双方の当事者ともに、国際訴訟に精通した代理人弁護士を選任しなければならないことになり、弁護士費用だけでも1000万円から3000万円程度かかることが容易に推測されます。そこで、当事者としては、このような背景を考えながら、できるだけ費用を抑えて早期に紛争の解決を図る必要が生じてきます。当事者のいずれの立場であっても、裁判外での紛争の解決を図るためには、お互いに譲歩を行いながら、相手方が受け入れ可能な妥協案について確認していく作業が必要となります。本事案もいずれの当事者の主張が正しいかという事を必ずしも確定的に判断することは困難ですが、訴訟になった場合に多額の弁護士費用を要することや、両当事者とも、今後も継続的に取引を行っていきたいと希望していることから、両方の当事者からかなりの譲歩を得ることができ、裁判外での和解に至ることができました。

栗林総合法律事務所のサービス

栗林総合法律事務所では、国際取引を行う当事者間の意思疎通の齟齬や商慣習の違いによって生じる様々な問題について、日本企業の代理人として依頼者の立場を相手先企業に対して明確に伝え、取引条件の改善や明確化を求めていきます。また、取引の過程における紛争について双方の意見の対立がある場合には、双方の意見を聞きながら、当該環境下における好ましい妥協点はどこであるかを探っていき、当事者を説得しながら双方のビジネス上のメリットを最大化できる合意を導いていきます。単に、依頼者側の利益の立場からの一方的な意見の主張を行うのではなく、ビジネス上の観点から当事者双方に最も好ましい解決策を導き出し、それを両当事者に納得してもらうことが重要なポイントであると考えています。また、このような交渉を経て合意された内容については、法律上の権利義務であることを明確にするために、取引基本契約書の契約条項の改定や、メモランダム(Memorandum)やサイドレター(Side Letter)の形で書面化し、当事者双方の署名押印を取得していきます。これらの書面は全て英語で作成されます。また、場合によっては和解合意書(Settlement Agreement)として、双方の意見の相違がある中で、紛争解決がなされたことを明確にしておくこともあります。栗林総合法律事務所では、国際間の紛争における条件交渉の他、合意された内容を反映する各種書面のドラフトも行い、日本企業が巻き込まれる国際紛争について解決のためのサポートを提供しています。なお、国際紛争の解決に関する業務については、原則としてタイムチャージによる請求となりますが、顧問先企業については、国際紛争に関する法律相談料の他、和解交渉や書面作成に関する弁護士報酬についても通常の場合よりも2割のディスカウントを受けることができます。詳細については、栗林総合法律事務所のお問い合わせフォームからお問合せください。