フランス企業との間の英文ソフトウェアライセンス契約書を作成した事例
事案の概要
当事務所のお客様(日本企業)は、通信システムで利用される仮装ネットワークの設計装置及びサブネットワークの設計装置に関する特許を有しており、日本の大手通信会社に技術提供及び保守サービスを提供してきましたが、フランス企業から、当該技術の情報開示とコンサルティング、技術ライセンスの付与に関する協議を持ち掛けられました。また、フランス企業からは、日本企業が倒産した場合に、当該技術が他社に承継されて、ライセンスが中断し、フランス国内における事業継続に支障が生じることを回避したいとの要望があり、この問題を解決するための提案が求められました。さらに、フランス企業からは、類似の特許出願の公報が示され、日本企業が有する技術がこれらの公報に記載された技術情報に抵触することがないかどうかについての意見書の提出も求められることになりました。フランスの企業としては相当大がかりな投資を行ってこの技術を導入することを検討しており、継続して技術の利用ができることが当該技術の採用において極めて重要であるとされています。
ソフトウェアライセンス契約書のポイント
ソフトウェアライセンス契約では、ソフトウェアに関する特殊な条項が多く含まれていますので、独自の契約書のフォーマットを利用する必要があります。当事務所では、コンピュータプログラムのライセンスに関連する契約書を作成する他、日本のコンテンツを、携帯電話を通じてヨーロッパに配信する契約書を作成するなど、ソフトウェアのライセンスに関する様々な英文契約書の作成、締結に関与しています。また、ソフトウェアのライセンス契約書においては、ライセンサーの倒産の場合に、ライセンシーがそのままソフトウェアを継続使用することができるかどうかが問題となることもあります。この場合、エスクローエージェント契約書を作成し、ソフトウェアのソースコードを第三者であるエスクローエージェントに保管してもらうということも考えられます。
栗林総合法律事務所における作業の結果
本件は、依頼者である日本企業にとっても初めての大型の海外技術導入であり、高額の取引が予想される内容でした。一方で、技術情報などについてフランスの企業と英語でやり取りを行うなど、レベル的にも難しい作業を要求される業務でもありました。当事務所では、依頼者と繰り返し打ち合わせを行い、ソフトウェアに関する技術の使用許諾として、英文によるソフトウェアライセンス契約書を作成していきました(原案はフランス企業から提示されたものです)。また、特許侵害の可能性についての調査については、当事務所と提携する弁理士事務所にも関与いただき、特許公報の内容を検討したうえで、特許の抵触はない旨の意見書を作成しています。
栗林総合法律事務所のサービス内容
栗林総合法律事務所では、日本企業が海外進出を行う際の法的支援を行っています。このような支援の中には、営業拠点の探索、賃貸借契約の締結、人の採用など現地におけるコンサル的仕事や、現地法人の設立支援など、現地のプレゼンスがないと行えない業務もあります。一方で、日本から海外への輸出を行ったり、現地の販売代理店を指名して、販売代理店を通じて現地企業に対して商品を販売する場合など、日本国内にいながら海外での商品の販売やサービスの提供を行っていく方法もあります。これらの国際取引の枠組みの決定などは、相手方当事者との協議を行いながら契約書やLOIなどの文書に落とし込んでいくことができます。当事務所では、国際取引を行う場合の注意点や国際取引の始め方について、海外進出を始めて検討されているお客様から、既に多くの国際取引を行っているお客様にいたるまで、様々な企業様からのお問合せを頂いております。また、海外取引の協議内容については、LOIやMOUの形で文書に落とし込み、当事者の理解の齟齬がないようにしながら話をまとめていく支援を行っています。さらに、取引条件などについて基本的合意ができた場合には、商品取引基本契約書、動産売買契約書、サービス提供契約書、販売代理店契約書、エージェント契約書、ライセンス契約書等、依頼者の実情に応じた様々な種類の契約書を作成し、円滑な海外取引が実施できるよう支援しています。海外進出支援に関する弁護士費用については、タイムチャージ制となります。パートナー弁護士の1時間当たりの単価は5万5000円、アソシエイト弁護士の1時間当たり単価は3万3000円となり(いずれも消費税込)、これらの弁護士が当該案件に使用した時間に各弁護士の時間単価を掛けた金額を毎月集計して請求させていただくことになります。一方顧問契約を締結いただいているお客様については、2割のディスカウントがありますので、パートナー弁護士の場合の時間単価は4万4000円、アソシエイト弁護士の時間単価は2万6400円となります(いずれも消費税込)。顧問契約を締結いただいたお客様に対しては、日本語の契約書や英語の契約書の作成レビューなどのサービスだけではなく、電話やeメールによる日常の法律相談など、お客様の業務内容をしっかり理解し、継続して適切なサービスの提供ができるようにするためにも、顧問契約の締結についてご検討ください。