個人病院(クリニック)の事業譲渡を行った事例
事案の概要
依頼者のお父様Yは長年医師としてクリニックを経営してきましたが、高齢によりお亡くなりになりました。Yのご子息様は医師の資格を有しておらず、クリニックを承継する予定はありません。また、現在のクリニックに勤務している医師も財産の承継まで行いたいとの希望は有していませんでした。そこで、Yのご子息様が、クリニックの承継について栗林総合法律事務所に相談に来られました。
個人病院(クリニック)の承継のポイント
医療法人の社員の扱いについては、定款や寄附行為によって定められています。社団医療法人の理事は社員総会において選任され、財団医療法人の理事は評議員会において選任されることになります。医療法人の理事長は医師である理事の中から選出されます。医療法人の承継を行うには、社員総会において理事に選出してもらうこと、理事会において理事長に選出してもらうことが必要です。また、医療法人の持分については、適切な資産査定を経て相続人から譲り受けることになります。医療法人の資産・負債については、デューデリジェンスを行い、その内容の確認をしておく必要があります。これに対して、個人病院(クリニック)の事業譲渡の場合は、社員総会や理事会の問題は生じません。一方で、保健所への診療所の開設届けや、厚生局への保険医療機関指定申請などの手続きは必要となります。
栗林総合法律事務所における作業の結果
医師個人が開設して院長を務める診療所(クリニック)については、医師の死亡により許可や届け出の効力は失われてしまいます。相続人としては、廃業するか、資産を別の医師に譲渡し事業を承継してもらう必要があります。診療所(クリニック)は法人格を有していませんので、資産の承継は、資産の譲渡の方法になります。本件では、当初、クリニックを承継する者が見当たらず、廃業もやむを得ないと考えていましたが、たまたま被相続人Yの知り合いから、クリニックの承継に応じてもらえる医療法人の紹介を受けることができました。買い手である医療法人は、クリニックのデューデリジェンスを行うということで、賃貸借契約書、リース契約書、雇用契約書などの各種契約書の他、診療録などの詳細について検討することになりました。栗林総合法律事務所では、Yの相続人を代理して、クリニックに関する営業権の譲渡契約書を作成することになりました。なお、本件クリニックでは、医療機器についてリース契約を締結していましたので、リース会社との間で交渉し、リース契約の承継について合意を得ることができました。新しく院長になった医師は、保険所への診療所開設届、税務署への事業開始届、厚生局への保険医療機関指定申請等を行っています。
栗林総合法律事務所のサービス内容
栗林総合法律事務所では、個人病院(クリニック)の事業承継を扱っています。個人病院(クリニック)は、法人格を有しませんので、クリニックの承継については事業譲渡の方法がとられることになります。栗林総合法律事務所では、事業譲渡に必要となる各種契約書の作成や、譲渡対象となるクリニックの状態を検査する法務デューデリジェンスなどを支援します。医療法人や個人病院(クリニック)の承継を考えている場合は、栗林総合法律事務所にご相談ください。