• 2024.03.04
  • 個人の法律相談

下着の窃盗事件で起訴猶予処分を得た事例

事案の概要

当事務所の顧問先の社長の息子A君は、東京都の郊外のJR線の沿線に一人で住んでおり、公務員として郵便局に勤務していました。A君が住んでいるJR線三鷹駅とA君の自宅との間に女性専用の低層階のアパートがあり、1階の端の部屋に若い女性が一人で住んでいました。A君も毎日通勤していますので、そのアパートが女性専用のアパートであり、右端の部屋に若い女性が一人で住んでいることを認識していました。ある日、夜の10時ころ、酒に酔ったA君が自宅に帰る途中にそのアパートを見ると、1階のベランダに女性用下着が干してあることに気が付きました。A君は突如、ベランダに干してある女性用下着を盗むことを思いつき、塀を乗り越えてベランダに侵入したところで、アパートの住人に発見され、現行犯逮捕されることになりました。そのアパートに住んでいた女性は、仕事が終わったのち、夜の間に洗濯をして、夜中にベランダに洗濯物を干していたようです。A君は、近所の警察署の留置所に留置されることになりました。A君が逮捕されたことを知ったご両親から栗林総合法律事務所に連絡があり、栗林総合法律事務所においてA君の刑事弁護事件を担当することになりました。

逮捕・勾留された場合のポイント

警察に逮捕された場合、警察の留置所に入れられ、身体の拘束が開始されます。警察は逮捕の時点から48時間以内に検察官に身柄を送致し、その後24時間以内に検察官は勾留請求するかどうかを判断することになります。検察官が勾留請求をしないと判断された場合は、釈放されることになります。一方、検察官が裁判所に対して勾留請求をすると判断した場合は、裁判所に勾留請求を行い、裁判所が勾留を認めた場合(勾留決定が出された場合)は、その時から10日間の勾留が行われることになります。また、勾留については、最大10日間の拘留期間の延長が認められていますので、勾留期間は最大で20日間に及ぶことになります。このように逮捕されてから拘留請求されるまでの3日間(72時間)と拘留期間の10日間ないし20日間も警察の留置所に身柄が拘束されることになりますので、社会生活へのダメージは極めて大きなものとなります。従って、逮捕された場合は、できるだけ早期に弁護士と面会し、早期に身柄が釈放されるような活動を行っていくことが重要となります。

栗林総合法律事務所における作業の結果

栗林総合法律事務所では、顧問先の社長様からの相談を受けたその日のうちに、警察署で息子さんと面会(接見)を行い、息子さんから事情を聞いてきました。息子さんの話では、下着の窃盗を行おうとしたことには間違いがないとのことですが、今回の逮捕が職場にばれた場合は郵便局を退職させられてしまう可能性があり、それだけは何としても避けたいということでした。私どもは、息子さんに対して今後の手続きについて説明を行うとともに、逮捕された事実が職場に分からないように迅速かつ秘密裏に処理すること、及び長期の身柄拘束がなされることがないよう、検察官と交渉し、勾留請求しないよう検察官に働きかけていくことを弁護方針とすることを決定しました。また、検察官から勾留請求されないためには、被害者とできるだけ早期に示談し、被害者に加害者を宥恕する旨の書面にサインしてもらうことが重要となります。痴漢事件や少額の窃盗事件では、被害者との間で示談が成立し、被害者が宥恕しているかどうかが、起訴猶予処分を行うかどうかの判断に重要な影響を与えるからです。当事務所では、翌朝午前8時過ぎに被害者と連絡をとり、示談交渉を開始することになりました。当初、当事務所からは、被害者に対して30万円の示談金をお支払いするので、示談書にサインしてもらえないかとの提案を行いました。被害者の女性からは、両親などにも相談するので、しばらく待って欲しいとの回答がありました。翌日被害者の女性から当事務所に電話があり、被害者の女性としては、近くに加害者が住んでいるような状況で今後生活を継続していくことはできないので、すぐに引っ越しをすることを考えているとのことでした。また、その引っ越しに要する費用は加害者の行為によって発生したものですので、引っ越し費用として100万円程度の支払いをしてもらわないと困るとのことでした。さらに被害者からは、精神的な慰謝料や迷惑料なども支払って欲しいとの要求があり、最終的には200万円の支払いを行うことで示談に至ることになりました。依頼者である顧問先の社長からは、下着の窃盗事件とは言え、200万円もの賠償を行うというのは支払いすぎではないかとの意見もありましたが、できるだけ早期に示談書を取得し、検察官から拘留請求されないことが大変重要な状況となっていることを説明し、依頼者にも納得してもらうことになりました。その後、検察官に対して、示談書の写しと上申書を提出したところ、検察官では処分保留とし、勾留請求は行わないとの判断になった旨の連絡を頂くことができました。加害者である社長の息子は、3日間の拘留はありましたが、4日目からは職場に復帰することができました。息子さんが逮捕されていた3日間については、息子さんの両親から職場に対して病気により欠席する旨の連絡をしてもらっていましたので、逮捕された事実が職場にばれることなく、職場に復帰することができることになりました。

栗林総合法律事務所のサービス内容

今回の案件は、栗林総合法律事務所の顧問先の社長から依頼であり、そのご子息の問題ですので、当事務所としても極めて重要な案件として取り扱うことになりました。依頼者である顧問先の社長様もご子息の将来にかかわる問題であり、かなり心配されていました。栗林総合法律事務所では、顧問先の役員や従業員の個人的法律問題についてリーガルアドバイスを提供するサービスを行っています。従業員に対する支援になりますので、Employee Assistant Program(EAP)と呼んでいます。EAPプログラムによる申し入れについては、初回無料法律相談を行うとともに、顧問割引と同様に弁護士報酬について2割の割引を受けることが可能となります。顧問先の会社としては、役員や従業員に対する福利厚生として活用することも可能です。EAPプログラムは、今回のような刑事事件の他、遺産相続、離婚事件、民事上の裁判などでも活用可能です。EAPプログラムについてご質問などございましたら、いつでも栗林総合法律事務所までお問い合わせください。