• 2024.01.10
  • 国際紛争

アメリカ人と日本人が運営していたジョイントベンチャーがデッドロックの状態となったことから、協議の上会社の清算を行った事例

国際紛争事案の概要

当事務所の依頼者であるアメリカ人Aと日本人Bは、日本で会社Xを設立し、50%ずつ株式を所有していました。当初は相互の協議により問題なく事業の運営ができていましたが、やがて意見の相違によりデッドロックの状態となり、株主総会においても取締役会においても決議ができない状態になりました。アメリカ人Aは日本の会社法について詳しく知りたいということと、日本人Bとの間の協議において、Aを代理して交渉を行ってほしいということから、栗林総合法律事務所に相談に来られることになりました。

栗林総合法律事務所による紛争解決

当事務所では、Aからヒアリングを行った結果、50%ずつの株式を所有する日本の会社Xについては、どちらかの当事者が相手方の所有する株式を買い取るか、会社を解散するかを選択する必要があるとの結論になりました。実際には、AとBとが互いに激しく対立する状態にあり、どちらかの当事者が会社を承継するというのも困難な状況でした。そこで、Bとの協議により、会社の解散、清算の手続きを行い、会社Xにあった現金・預金については、清算分配金として双方の当事者に分配することとしました。会社にあるその他の資産については、適切な評価を行い、それぞれの資産を欲しいと希望する当事者に対した、評価金額をもとに売却することとしました。

国際紛争解決のポイント

ジョイントベンチャーを設立する場合は、両当事者が50%ずつ株式を所有していることが多くあります。お互いに順調に事業を行っている間は問題ありませんが、会社の運営方針などについて意見の相違が生じ、話し合いによる解決ができない状態になるといわゆるデッドロックの状態に陥ることになります。この場合、どちらかの当事者が相手方の株式を買い取るか、それができない場合には会社を解散させてしまうという選択肢を検討せざるを得ないことになります。ジョイントベンチャーの株主がいずれも日本人同士の場合であっても紛争となるケースが多くありますが、当事者の一方が外国人の場合は、英語による円滑なコミュニケーションも難しいことから、なかなか十分な意思疎通を図ることができず、解決ができない状態になってしまうこともあります。また、ジョイントベンチャーの株式の買取や、会社の清算については、税金の問題が深くかかわってくることから、それぞれの選択肢を取った場合に税務上の影響がどのようになるのかについてきちんとした説明を英語で行うことが重要となってきます。

栗林総合法律事務所のサービス

栗林総合法律事務所では、日本の会社法に基づき、デッドロックに陥ったジョイントベンチャーの当事者(株主)が取りうる手段について幅広く説明し、多様な選択肢の中から、当該状況にふさわしい解決策を導いていくことを支援いたします。また、これらのコンサルティングの中には、所得税などの日本の税法についての詳細な解説も行っていくことになります。依頼者が外国人の場合は、これらの解説については全て英語で行うことになります。ジョイントベンチャーの清算については、いずれかの当事者または中立的な第三者が解散や清算の手続きを進めていく必要があります。栗林総合法律事務所では、依頼者の要望を踏まえ、相手方当事者と密なコミュニケーションを図り、会社の解散や清算金の分配など、双方の当事者の利益を最大化しえるよう協議交渉を代行して進めて参ります。