暴行事件で勾留請求却下決定を得た事例
事案の概要
当事務所の顧問先の従業員Xは、顧問先の忘年会でお酒を飲んだ帰り道、最寄り駅の構内でぶつかった相手を殴ってしまうという暴行事件を起こしてしまいました。Xは、その場ですぐに逮捕されることになりました。その場にはXの同僚がおり、今後どうしていいかがわからなかったため、すぐに上司に連絡をとり、上司から栗林総合法律事務所に連絡がなされることになりました。栗林総合法律事務所に連絡があったのは夜の8時ころでしたが、緊急の案件であるということで、すぐにXとの面会(接見)を行ったところ、Xが暴行を行ったことについてはかねがね認めているものの、X自身も相手方から殴られた形跡があり、必ずしも一方的に相手方を殴ったという状況でもないようです。栗林総合法律事務所では、Xの両親に連絡をとり、刑事事件についての委任を受けることになりました。
勾留請求却下決定のポイント
警察に逮捕された場合、警察の留置所に入れられ、身体の拘束が開始されます。警察は逮捕の時点から48時間以内に検察官に身柄を送致し、その後24時間以内に検察官は勾留請求するかどうかを判断することになります。検察官が勾留請求をしないと判断された場合は、釈放されることになります。一方、検察官が裁判所に対して勾留請求をすると判断した場合は、裁判所に勾留請求を行い、裁判所が勾留を認めた場合(勾留決定が出された場合)は、その時から10日間の勾留が行われることになります。また、勾留については、最大10日間の拘留期間の延長が認められていますので、勾留期間は最大で20日間に及ぶことになります。このように逮捕されてから拘留請求されるまでの3日間(72時間)と拘留期間の10日間ないし20日間も警察の留置所に身柄が拘束されることになりますので、社会生活へのダメージは極めて大きなものとなります。従って、逮捕された場合は、できるだけ早期に弁護士と面会し、早期に身柄が釈放されるような活動を行っていくことが重要となります。また、万一検察官から裁判所に対して勾留請求がなされた場合は、裁判所に対して勾留理由がないことを主張し、勾留請求を却下してもらうことが重要となります。最近は、勾留請求が却下される割合も増加していますので、勾留請求がなされた場合であっても、あきらめないことが重要になります。
栗林総合法律事務所における作業の結果
栗林総合法律事務所からXの両親に連絡をとったところ、地方(北海道)に居住していた両親が翌朝一番の飛行機で東京に来ていただけることになりました。また、Xの職場の上司も心配して栗林総合法律事務所を訪問してくれました。上司の話では、Xはまじめで非常に能力の高い成年であり、職場でも上司からの高い信頼を得ているようです。会社としては、どのような状況になっても、Xを解雇するつもりはないこと、Xが早期に釈放されるよう会社としても全力でバックアップをしていきたいとの話がありました。そこで、本件における弁護方針としては、できるだけ早期に被害者と示談し、検察官から勾留請求がなされることがないようにすることと、またXに前科がつかないようにするために、検察官による起訴がなされないようにすること(不起訴処分を獲得すること)を最優先とすることが確認されました。翌日から、被害者との間で示談交渉を開始しましたが、被害者からは300万円の示談金の支払いがないと示談には応じられないとの話がありました。Xの両親からは、息子に前科がつかないようにするためであれば、300万円の支払いに応じることもやぶさかではないと言われましたが、今回は被害者からも加害者に対する暴行がなされており、必ずしも一方的に殴ったと言える状況ではありませんでした。そこで、示談交渉については継続していくとともに、両親からの身元引受書、両親や会社の上司からの上申書などを作成し、Xはまじめな成年であり、両親や上司からのサポートもあることから、罪証隠滅の恐れや逃亡の恐れがなく、勾留理由が存在しないこと、及びXは今後二度と同様の犯罪を犯す恐れはないことを訴えていくことになりました。しかし、検察官は被害者との間で示談がなされていないことを理由に裁判所に対して勾留請求を行ってきました。栗林総合法律事務所では、両親や上司と一緒に裁判所を訪問し、Xの勾留質問に立ち会うことにしました。残念ながら、両親や上司が裁判官に直接話をすることはできませんでしたが、私たちが弁護人としてXに同席して裁判官との面会に臨み、Xを勾留する勾留理由(罪証隠滅や逃亡の恐れ)が存在しないことを主張していきました。その結果、裁判官は弁護人の主張を受け入れてくれ、検察官による勾留請求を却下してもらうことができました。Xはすぐに釈放され、事件としても不起訴処分になりましたので、刑事事件になること(Xに対して前科がつくこと)もなくなりました。
栗林総合法律事務所のサービス内容
今回の案件は、栗林総合法律事務所の顧問先の従業員に関する刑事事件であり、当事務所としても極めて重要な案件として取り扱うことになりました。顧問先の上司や社長も、自社の従業員が刑事事件に巻き込まれたということで、かなり心配されていました。栗林総合法律事務所では、顧問先の役員や従業員の個人的法律問題についてリーガルアドバイスを提供するサービスを行っています。刑事事件や民事裁判などは私生活を行っていく中で突然発生する可能性があり、弁護人を十分に吟味する時間的猶予もない可能性があります。栗林総合法律事務所では、顧問先の皆様が刑事事件などに書き込まれることで業務に支障が生じることがないよう、会社の役員や従業員をサポートする活動を行っています。顧問先の会社様の従業員に対する支援(アシスタント)になりますので、Employee Assistant Program(EAP)と呼んでいます。EAPプログラムによる申し入れについては、初回無料法律相談を行うとともに、顧問割引と同様に弁護士報酬について2割の割引を受けることが可能となります。顧問先の会社としては、役員や従業員に対する福利厚生として活用することも可能です。EAPプログラムは、今回のような刑事事件の他、遺産相続(遺産分割協議)、離婚事件、民事上の裁判などでも活用可能です。EAPプログラムについてご質問などございましたら、いつでも栗林総合法律事務所までお問い合わせください。