株主総会招集許可請求(経営支配権紛争)

事案の概要

T株式会社では、創業者の子孫であるA家族、B家族、C家族の3つの家族がそれぞれ3分の1程度の株式を有しており、経営権の取得に関する激し争いが続いてきました。そのため、長く株主総会や取締役会は開催されておらず、一部の株主の間だけで総会の開催の形式をとり、税理士に依頼して株主総会議事録を作成し、登記を行ってきておりました。そのような中、会社の経営から完全に排除されていたC家族から、株主総会開催請求がなされ、実質上会社の代表者であったaがこれを拒否したところ、cの側から裁判所に対して株主総会招集許可申し立てがなされることになりました。当事務所は、A家族からの依頼に基づき、株主総会招集許可請求事件の相手方の代理人になることになりました。

株主総会招集許可請求における代理

取締役会設置会社では、株主総会は取締役会が招集を決定し、代表取締役が業務執行として招集することになります(会社法296条3項、同法398条4項)。但し、役員の選任等の法定決議事項その他重要事項について株主総会が招集されない場合は、例外として、少数株主が裁判所の許可を得て株主総会を招集することができるとされています(会社法297条4項)。

少数株主が株主総会招集許可申し立てを行うためには、①6ケ月前から引続き、総株主の議決権の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合においては、その割合)以上の議決権を有する株主であること(会社法297条1項、2項、定款14条)、②取締役に対し、株主総会の目的事項である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限ります。)及び招集の理由を示して株主総会の招集を請求すること(会社法297条1項)、③(i)招集請求後遅滞なく招集の手続が行われない場合、又は(ii)招集請求があった日から8週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内の日を株主総会の日とする株主総会の招集の通知が発せられない場合(会社法297条4項)であることが必要とされています。

すなわち、3%以上の株式を有する株主であってもすぐに株主総会の招集を行うことができるのではなく、まず会社に対して株主総会を開催するよう請求し、一定の期間内に株主総会が開催されない場合に始めて、裁判所に対して株主総会招集許可の申立てを行うことができることになります。そして、裁判所が招集許可決定を出して初めて、当該株主は自ら株主総会の招集を行うことができることになります。

株主総会招集許可の申立をする場合、申立人は、その原因となる事実を疎明しなければなりません(会社法869条)。株主総会招集の許可申立てでは陳述の聴取は要求されていませんが(会社法870条参照)、東京地裁の運用としては、会社の代表取締役等を呼び出して審問期日を行い、会社の意見を聴取する機会を設けているのが一般的です。招集許可請求事件では、相手方(会社)からは、①申立人が必要な株式を有していないこと、②申立人の申立は権利の濫用であることが主張されることが多くあります。ただし、株主総会という会社の重要事項を決定する会議体についての招集申立て(最終的には総会決議を行って内容を決せばよい)であって、証明度が低い疎明のみで足り、短期で決定がでることが前提となっている非訟事件であることから、一般的に申立人にとって有利な判断がなされることが多いというのが実務の運用です。

裁判所の招集許可決定がなされた場合、少数株主は裁判所が定める期間内(6週間程度が多い)に、自ら株主総会を招集することができます。 裁判所の許可決定があったときには、会社は同一の議題についての株主総会の招集を自らおこなうことはできなくなります。招集株主が招集した株主総会において決議ができるのは許可された議題の範囲に限られます(大判昭和4年4月8日、金沢地裁昭和34年9月23日)。もっとも、許可された議題に含まれておらず、かつ招集通知に記載がなくとも、会社の業務及び財産の状況を調査する者を選任することはできます(会社法316条2項)。審問期日において、裁判所は、会社の代表取締役に対して株主総会の開催を勧告し、これに応じて会社が任意に株主総会を開催する場合には、裁判所は、少数株主による許可申立を取下げ、申立人が取り下げない場合は申立を却下することもあります。

当事務所では、株主総会の招集許可申し立てに際して、当該招集許可請求が権利の濫用に当たり認められないことを主張しました。最終的に、裁判所は当方の主張を認めず、株主総会の招集許可決定を出すこととなりましたが、決定まで6カ月近くの期間を要することになりましたので、その間に申立人との間で様々な協議の場面を持つ機会ができ、紛争の根本解決に向けて大きく前進を図ることができました。

栗林総合法律事務所のサービス内容

栗林総合法律事務所は、少数株主の側を代理して、株主総会招集請求を行い、会社がこれを拒否する場合には、裁判所に対して株主総会招集許可請求を行います。裁判所が株主総会招集許可決定を出した場合には、依頼者である少数株主を代理して総会の招集手続きや、当日の総会運営などを依頼者と一緒に行っていくことになります。一方、株主総会の招集請求をなされた会社側からの依頼により、招集許可請求の裁判で代理を行うことも多くあります。この場合、申立人の申立てが会社法に定められた要件を満たすものであるかどうかを検討するとともに、申立人が自己の個人的利益を図る目的で申し立てを行っていると認められる場合には、権利濫用の主張を行うなどして、会社の立場を主張してまいります。また、仮に株主総会招集許可決定がなされた場合であっても、少数株主による総会の招集や運営が法律に基づき適正に行われているかどうかを監視していくことになります。

弁護士費用

一般の会社様

株主総会招集許可申し立て事件における代理行為については、着手金60万円(税別)、成功報酬60万円(税別)となります。

また、株主総会の招集手続き及び株主総会の運営に関するアドバイスについては、タイムチャージ方式による請求となります。パートナー弁護士は1時間当たりの単価3万5000円(税別)、アソシエイト弁護士は1時間当たりの単価2万5000円(税別)となり、毎月の使用時間をもとに請求書を発行することとになります。

顧問契約を締結いただいているお客様

顧問契約を締結いただいているお客様については、パートナー弁護士の1時間当たりの単価が3万円(税別)、アソシエイト弁護士の1時間当たりの単価が2万円(税別)となります。顧問契約先様に対しては、およそ20%のディスカウントをご提案させていただいております。