タイの会社に商品を販売するための英文売買取引基本契約書を作成した事例
事案の概要
当事務所の依頼者(日本の会社)に対してタイの会社から日本の会社の商品を継続的に購入したいとの注文がありました。タイの会社としては、日本の会社の商品についてタイの市場でも十分に販売できるとの確証を得ており、これを日本から輸入し、タイ、ラオス、カンボジアなどタイの周辺国に販売網を構築して継続的に販売していきたいと希望しているものと考えられます。日本の会社としては、海外企業との取引は初めてであることから、タイの会社との取引条件をどのように定めればいいのか、また国際取引を行う際の注意点は何かについて当事務所に対して問い合わせがありました。
売買取引基本契約書作成のポイント
外国企業と取引を行う場合には、日本国内の取引とは異なる様々な注意事項や検討すべき事項があります。日本企業の中には、日本国内で使用されている売買取引基本契約書の内容を英語に訳して、そのまま使用することを希望する会社があります。しかしながら、仮に当該基本契約書が依頼者の側に有利な内容で作成されていたとしても、その内容をそのまま海外取引で利用できるわけではありません。海外取引については、基本的な貿易条件の定め(FOB、CIF、Ex Worksなど)、費用負担、代金の支払方法、支払通貨、品質保証などについて日本の契約書とは異なる独自の内容を定めておく必要があります。当事務所では、これまで30年以上の弁護士業務の中で、多くの国際取引契約書を作成してきた経験を有しており、国際取引契約について様々な種類の標準フォームを作成しています。依頼者の取り扱う商材、輸送方法、取引の相手方などの基本的条件から、今回の取引にふさわしい取引条件が何であるかを依頼者と協議しながら確定し、それを契約書に反映していくようにしています。当事務所では、この種の契約書は最初の段階から英語で作成することになりますが、依頼者が希望する場合には日本語の翻訳文も同時に作成し、依頼者の役員・担当者にも十分に理解いただけるよう対応しています。
栗林総合法律事務所における作業の結果
日本企業の製品を海外に販売する場合、売買契約書については、売主である日本企業のフォーマットに基づいて作成するのが通常です。売主は、最初の段階から自分たちに有利な契約条項を提示することができ、それに基づいて契約交渉が始まることになります。そこで、栗林総合法律事務所では、当事務所が所有するフォーマットに基づいて売買基本契約書を作成し、それをベースに協議していくよう提案したところ、そのような形で契約交渉が進んでいくことになりました。また、危険負担については、インコタームズ2020によるEx Worksを提案し、受け入れられています。これにより、日本企業の工場で荷物の引き渡しが行われ、その後の危険負担は買主であるタイの会社が負担することになります。また、日本国内での運送賃、横浜税関での通関費用、関税、日本からタイまでの海上運賃なども買主(タイ企業)の負担であることが明確化されました。
栗林総合法律事務所のサービス内容
栗林総合法律事務所では、日本企業が海外進出を行う際の法的支援を行っています。このような支援の中には、営業拠点の探索、賃貸借契約の締結、人の採用など現地におけるコンサル的仕事や、現地法人の設立支援など、現地のプレゼンスがないと行えない業務もあります。一方で、日本から海外への輸出を行ったり、現地の販売代理店を指名して、販売代理店を通じて現地企業に対して商品を販売する場合など、日本国内にいながら海外での商品の販売やサービスの提供を行っていく方法もあります。これらの国際取引の枠組みの決定などは、相手方当事者との協議を行いながら契約書やLOIなどの文書に落とし込んでいくことができます。当事務所では、国際取引を行う場合の注意点や国際取引の始め方について、海外進出を始めて検討されているお客様から、既に多くの国際取引を行っているお客様にいたるまで、様々な企業様からのお問合せを頂いております。また、海外取引の協議内容については、LOIやMOUの形で文書に落とし込み、当事者の理解の齟齬がないようにしながら話をまとめていく支援を行っています。さらに、取引条件などについて基本的合意ができた場合には、商品取引基本契約書、動産売買契約書、サービス提供契約書、販売代理店契約書、エージェント契約書、ライセンス契約書等、依頼者の実情に応じた様々な種類の契約書を作成し、円滑な海外取引が実施できるよう支援しています。海外進出支援に関する弁護士費用については、タイムチャージ制となります。パートナー弁護士の1時間当たりの単価は5万5000円、アソシエイト弁護士の1時間当たり単価は3万3000円となり(いずれも消費税込)、これらの弁護士が当該案件に使用した時間に各弁護士の時間単価を掛けた金額を毎月集計して請求させていただくことになります。一方顧問契約を締結いただいているお客様については、2割のディスカウントがありますので、パートナー弁護士の場合の時間単価は4万4000円、アソシエイト弁護士の時間単価は2万6400円となります(いずれも消費税込)。お客様の業務内容をしっかり理解し、継続して適切なサービスの提供ができるようにするためにも、顧問契約の締結についてご検討ください。