• 2024.02.16
  • 訴訟・紛争解決

違法行為差止仮処分の申立を行った事例

事案の概要

当事務所の依頼者の会社(X会社)で会社の経営支配権をめぐる内紛が発生しました。X会社の代表取締役Yは、X会社のお金を用いてX会社の株式を買い占めることを画策しました。Yは、X会社から、自分が支配している会社Pに対して20億円の貸し付けを行わせ、その資金を用いてX会社の株式を買い取ることを検討していました。このような貸し付けは、会社の利益のために行われるのではなく、代表取締役の保身のために行われるもので違法な取引と考えられます。そこで、X会社の株主であるNは、Yによる違法行為を差し止めるよう当事務所に依頼してきました。

支配権をめぐる争いのポイント

支配権をめぐる争いが生じた場合、どちらのグループがより多くの株式を取得するかがポイントとなることがあります。より多くの株式を有するグループは株主総会において自らの候補者を取締役に選任することができ、取締役の多数を通じて会社を支配することができるからです。ある程度規模の大きな会社の場合、株式の評価額も大きくなりますので、株式の移転を行うためには対価となる現金の準備を行う必要があります。この現金の準備ができないと経営支配権をめぐる争いにおいて敗れてしまうことになります。そこで、会社の資金を一旦自分たちの支配下にある会社に貸付け、その資金で株式を買い取ることを検討することがあります。しかしながら、このような資金の貸し付けや株式の移動は、経営者が自らの利益を図るために会社の資金を利用して行うもので、違法な取引と考えられます。会社法では、株主は、取締役が株式会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をする恐れがある場合において、当該行為によって株式会社に著しい損害が生じる恐れがあるときは、当該取締役に対し、当該行為を辞めることを請求することができるとされています(会社法360条1項)。株主から違法行為差止請求の書面が送付されたにもかかわらず取締役が自ら違法行為を取りやめない場合、当該株主は、裁判所に対して違法行為の差止請求訴訟を提起することができます。また、違法行為がなされる差し迫った危険が認められるときは、より迅速に差止めの効力が生じる仮処分の申し立てを行うことができます(民事保全法23条2項)。

栗林総合法律事務所の業務の結果

本件では、代表取締役の支配する会社に対して金銭の貸し付けが行われ、その資金を用いてX会社の株式の譲渡がなされてしまった場合には、X会社の支配権が完全に失われ、当事務所の依頼者にとって回復しがたい損害が認められると思われます。そこで、急迫を要するものとして、裁判所に対して違法行為を差し止めるための仮処分の申し立てを行うことにしました。違法行為差し止めの仮処分においては、被保全権利の存在と保全の必要性についての疎明が必要になります(民事保全法13条1項)。栗林総合法律事務所では、違法な行為についての決議を行おうとする取締役会の招集通知の写しや、当該取引の契約書案、企画書、株主による陳述書などの疎明資料を裁判所に提出することで、裁判所から違法行為差し止めの仮処分決定を得ることができました。

栗林総合法律事務所のサービス内容

栗林総合法律事務所では、取締役による違法行為がなされようとする場合、違法行為の差止請求や仮処分を活用することで、取締役による違法行為を阻止するための申し立てを扱っています。また、本件のような支配権をめぐる紛争では、裁判外での多数派工作も必要であり、また自分たちのグループの正当性を基礎づける事実の主張も必要となります。栗林総合法律事務所では、裁判上の手続きだけでなく、株主総会の開催、委任状の勧誘、関係者への通知・説得、違法行為についての刑事告訴等様々な手段を通じて株主の皆様の立場をサポートしていきます。