化学薬品に関する情報を開示するための秘密保持契約書を作成した事例
事案の概要
当事務所の顧問先は、化学薬品の開発を行うため、取引先との間で共同研究(取引の可能性の探求)を行うことになりました。共同研究を行うに際しては、相互に製品の製造に関するノウハウなど秘密情報を開示することが不可欠です。相手先企業が、依頼者から開示を受けた情報をもとに、商品の製造販売を行うようになれば、市場を奪われてしまうことになり大きな損害を被ってしまうことになります。そこで、相手先企業が秘密情報を共同研究以外の目的で使用することのないよう秘密保持契約書を作成し、相手先をしばりたいとのことで、秘密保持契約書の作成を依頼されました。
秘密保持契約書作成のポイント
取引先と取引を開始するにあたっては取引の実現可能性や採算性を確認するためフィージビリティスタディを行います。化学薬品の製造に関しては、供給先の仕様に合った内容である必要がありますので、取引先のニーズに応じてレシピや配合の調整が必要となってきます。その際、お互いに製品の製造に関する秘密情報を開示して取引の実現可能性を検討してゆかざるを得ないことになります。秘密保持契約書は作成すればそれで終わりというものではなく、相手方当事者が秘密保持義務を本当にきちんと履行しているのかを絶えず検証し、万一違反が生じた場合は速やかな改善措置を講じるよう要求していく必要があります。秘密保持契約書では、単に秘密保持義務を定めるだけでなく、秘密の保持を実現するためのサンクションを用意するなど、秘密保持義務の実現可能性・救済手段についても慎重に検討していく必要があります。
栗林総合法律事務所による業務の結果
当初、依頼者からは、共同研究開発になるので、共同研究開発契約書を作成してほしいと依頼されました。しかし、栗林総合法律事務所でヒアリングを重ねたところ、将来の継続的取引を開始するためのフィージビリティスタディの一環として取引の実現可能性について検討するものであることから、共同研究開発というよりも、秘密保持契約書により、相互に相手方に開示する秘密の内容が秘匿され、外部に漏洩されたり、目的外使用が行われることのないよう縛っていくことが主たる目的ではないかと思われました。そこで、依頼者と協議を重ねた結果、共同研究開発契約書ではなく、秘密保持契約書を作成することにし、依頼者に提出することができました。
栗林総合法律事務所のサービス内容
栗林総合法律事務所では、依頼者からの依頼により様々な契約書の作成、レビュー、修正、カウンセリング、契約交渉のサポートなどを行っています。秘密保持契約書はもっとも典型的な契約書であり、その作成や、レビュー、英訳など様々な形で依頼を受けることがあります。いずれの場合であっても、単に秘密保持義務を定めればいいというのではなく、秘密情報の定義、秘密情報の開示方法、秘密情報の取扱方法、返還義務、契約期間、差し止め請求や損害賠償請求の方法、契約期間、裁判管轄などを含め、詳細に検討して契約書を作成していくことになります。秘密保持契約書の作成、レビュー、修正、翻訳、契約交渉のサポートなどが必要な場合は、栗林総合法律事務所にお問い合わせください。