• 2024.02.29
  • 個人の法律相談

香港にある相続財産について遺言執行者となった事例

事案の概要

栗林総合法律事務所の依頼者X(日本国籍の男性)は、香港上海銀行に2000万円相当の銀行預金を有していましたが、すい臓がんによりお亡くなりになりました。Xが亡くなる直前に、栗林総合法律事務所に連絡があり、香港の預金を両親に相続させる内容の公正証書遺言を作成するよう依頼されました。ご本人としては、がんの進行が予想以上に早く、残された時間があまりないと思ったことから、自分の死後のことをきちんと整理されておきたいとのお考えがあったようです。特に、香港に相続財産がある場合には金額の多寡にかかわらず香港の裁判所でのプロベイトの手続きが必要になることを知っていましたので、相続人となるご両親に迷惑を掛けたくないとの希望もあったようです。また、栗林総合法律事務所が国際相続に強い事務所であるとの情報を得ていたため、栗林が遺言執行者になり、香港におけるプロベイト手続きも行って欲しいとの依頼がありました。

公正証書遺言作成のポイント

アメリカ、香港、シンガポールなどに所在する相続財産を相続する際には、現地におけるプロベイト手続きを行う必要が生じてきます。アメリカ、香港、シンガポールなどイギリス領であった国では、相続清算主義が取られ、相続財産はいったん相続財産(Estate)という財団を構成し、裁判所の監督の下で、相続財産と相続債務の確定を行い、まずは相続債務を全額支払い、残った財産を法定相続人や遺言書で指定された相続人に分配するという手続きが取られることになります。このように裁判所の監督下で、相続財産と債務を確定させ、残余財産を相続人に分配する手続きをプロベイト手続きと言います。一方、日本の法律では、被相続人が亡くなった場合は、被相続人の有していた債権債務は当然に相続人によって包括的に承継されることになります。債務の方が多いなどの理由により、相続したくない相続人については、相続放棄の手続きが取られることになります。このように日本とイギリス領であった国の相続手続きは全く異なるものとなります。日本人が亡くなる場合であっても、海外に相続財産がある以上、国際相続の形になりますので、国際相続の知識がないと相続手続きを順調に進めることができなくなります。

栗林総合法律事務所における作業の結果

今回の相続案件については、香港にある相続財産についてプロベイト手続きが適用になることを本人が知っていましたので、香港にある相続財産について公正証書遺言を作成し、栗林が遺言執行者となって、香港の銀行預金の解約手続きを行って欲しいというものでした。そこで、栗林総合法律事務所では、香港の銀行預金のみを対象とした公正証書遺言を作成し、栗林が遺言執行者になることにしました。その後、ご本人がお亡くなりになりましたので、栗林が香港の弁護士と連絡を取りながら、遺言執行者として香港の銀行預金の解約手続きを行っています。今回の案件についての弁護士報酬は、公正証書遺言の作成が10万円、遺言施行者の報酬が50万円(いずれも消費税別)となっています。

栗林総合法律事務所のサービス内容

栗林総合法律事務所では、多くの国際相続案件を取り扱っています。遺産相続が発生した後の相続手続きも多くありますが、生前の相続対策としてどのような準備をすればいいかについての問い合わせも多く受けています。特に相続人や被相続人が国際結婚をしている場合や、相続財産の一部が外国にある場合などは、相続が発生した後の手続きがどうなるか分からないことも多いと思います。そこで、栗林総合法律事務所では、国際相続が実際に発生している場合の他、今後国際相続になりそうな案件についてもご相談をうけることが多くあります。栗林総合法律事務所では、アメリカにおける遺言書(Will)の作成や信託(Trust)の設定を行うなど、エステートプランニングについてのアドバイスを行います。また、日本にある財産については、公正証書遺言の作成を行うなどして、お亡くなりになった人の意思が実現できるようサポートしていきます。また、日本で公正証書遺言を作成する場合に、栗林総合法律事務所の弁護士が遺言執行者となり、万一の場合には、栗林総合法律事務所の弁護士により遺言の執行手続きも行っております。公正証書遺言の作成についてお知りになりたい方は是非栗林総合法律事務所までお問い合わせください。