• 2020.09.01
  • 一般企業法務

法律意見書の作成

各種の法律意見書

当事務所で作成する意見書には、次のようなものがあります。取引関係の各種書類を確認し、会社法、民法、金融商品取引法などの法令に従った適切な手続きが取られているかどうかを確認し、意見を述べます。法律意見書は日本語で作成するほか、英語で作成することも可能です。

・第三者割当増資に関する意見書
・現物出資に関する意見書
・質権設定の有効性に関する意見書
・国際間での株式譲渡契約についての意見書

第三者割当増資に関する意見書

上場会社が第三者割当増資を行う場合、その手続きの内容を確認し、法令に従った適切な第三者割当増資であることを確認する法律意見書の提出を求められることが多くあります。発行会社においては、出資者(特に海外の出資者)に対して手続きの適正さを証明することができます。また、株式引受契約書の中で、弁護士の意見書の提出が求められることもあります。第三者割り当てに関する意見書の体裁は次の通りとなります。

検討した書類

・関東財務局長宛提出の有価証券届出書
・株式の発行を決議した取締役会議事録写し
・定款写し
・取締役会規則写し
・株式取扱規程写し
・履歴事項全部証明書
・第三者割当による新株式発行に関するお知らせ
・有価証券届出書の訂正届出書
・効力発生通知書
・株式引受契約書写し

前提事項

・写しとして提供された書類が、その原本の正確かつ完全な写しであり、現実に調印された原本と一致すること。
・写しとして当職らに提出された書類の原本は、修正、変更、撤回されることなく現在も存在すること。
・全当事者の署名捺印及び記名押印は真正であること。
・写しとして当職らに提出された書類のほかに、口頭によると書面によるとを問わず、当職らの本意見に影響を及ぼす合意、契約などが存在しないこと。

会社法の手続きに関する意見

・定款及び履歴事項全部証明書によれば、その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていないので、会社法第2条第5号に定める公開会社に該当し、会社法第201条第1項により、会社法第199条第3項に規定する場合を除き、募集株式に関する募集事項の決定機関は取締役会となる。

・定款及び取締役会規則によれば、取締役会の決議方法は、取締役の過半数が出席し、その過半数をもってこれを行うとされている。ただし、会議の目的たる事項につき利害関係を有する取締役は、その決議に参加することができず、この場合に、その取締役の数は出席した取締役の数に参入しないものとされている。履歴事項全部証明書によれば取締役は○名で、このうち議決に加わることができる取締役は○○を除く○名である。

・取締役会議事録によれば、本株式の発行に関する決議事項について、当該事項について議決に加わることができる全員の取締役が取締役会に出席し、満場の一致をもって当該事項は承認可決された。したがって、貴社による本株式の発行及びこれに基づく同社の義務の履行は、必要な内部手続きを経て適法に承認された。また、会社法第199条第1項所定の各事項の決定は、有効な取締役会の決議によっている。

・取締役会議事録及び有価証券届出書によれば、本株式は、会社法第199条第1項所定の事項を内容としており、その他会社法及び関連法規並びに定款、取締役会規則及び株式取扱規程に違反する事項を内容とはしていない。本株式の払込金額全額の払込みがなされたときは、本株式は適法、有効かつ法的拘束力を有するものとして発行される。

・有価証券届出書によれば、貴社が募集事項について割当日である○年○月○日の2週間前までに会社法第240条第4項に定める金融商品取引法第4条第1項の届出をしている。

・取締役会議事録によれば、株式引受契約書の締結に関する決議事項について、当該事項について議決に加わることができる全員の取締役が取締役会に出席し、満場の一致をもって当該事項は承認可決された。貴社の代表取締役に貴社を代表する権限が認められており、貴社の代表取締役○は貴社を代表して、株式引受契約書及び添付の証明書に署名した。したがって、○○株式会社が本株式の総数の引受けを行っており、会社法第203条及び第204条の適用はない。また、株式引受契約書の各条項は、有効かつ法的に各当事者に対する拘束力を有するものである。

・定款及び履歴事項全部証明書によれば、貴社の発行可能株式総数は○株である。また、履歴事項全部証明書によれば、発行済株式総数は○株である。お知らせによれば、既に発行されている新株予約権は全て権利行使されている。したがって、本株式の発行によっても、発行可能株式総数から発行済株式の総数を控除して得た数を超えていない。

・有価証券届出書、訂正届出書及び通知書によれば、有価証券届出書は金融商品取引法及び関連法規にしたがって作成されており、有価証券届出書は○年○月○日に効力を生じている。

・本株式については、貴社が東京証券取引所の規則を遵守する限りにおいて、東京証券取引所において有効に承認され、なんらの規制を受けず、譲渡について制限を受けることはない。

・以上により、本株式の発行手続きは適法になされている。

有利発行に関する意見

有利発行に当たるかどうかについては意見が留保されることが多くあります。但し、日本証券業協会の平成15年3月11日付一部改正に係る「第三者割当増資の取扱いに関する指針」に沿った第三者割り当ての場合、有利発行に関する意見を追加することも可能です。

留保事項

法律意見書にはいくつかの留保が付されることになります。留保事項が付されるのは法律の射程範囲、法律の制約によるものです。

弁護士費用(消費税込)

意見書の種類 弁護士報酬
第三者割当増資に関する意見書 110万円~330万円
質権設定の有効性に関する意見書 110万円~330万円
現物出資に関する意見書 44万円~88万円
国際的M&Aにおける日本当事者の手続遵守についての意見書 110万円~330万円

企業法務の最新情報をお届けする無料メールマガジン

栗林総合法律事務所 ~企業法務レポート~

メルマガ登録する