• 2024.03.04
  • M&A・事業承継

特別支配株主による株式売渡請求を行った事例

事案の概要

栗林総合法律事務所の顧問先A社に対して、取式先である上場会社B社から買収の申入れがありました。B社としては、A社の全ての株式を取得することを希望されています。一方、A社においては、20名程度の少数株主がおり、これらの少数株主に対してB社に株式を譲渡するよう働きかけたとしても、B社に対する株式譲渡に応じてくれるかどうか分からない状態です。特にB社が上場会社で規模の大きな会社であることが分かれば、より高い金額で株式の売り付けを行おうとして混乱が生じる恐れもあります。そこで、A社の代表取締役は、A社の少数株主からA社の株式の全部を取得し、その上でA社の株式をB社に譲渡することを検討しています。A社の代表者は、少数株主から強制的に株式を取得する方法について栗林総合法律事務所に相談に来られました。

特別支配株主による株式売渡請求のポイント

M&Aにおける会社の譲渡において、取得会社としては対象会社の発行済株式の全部を取得したいと考えます。対象会社の株主の全員が株式譲渡に応じてくれる場合は問題ありませんが、株式譲渡に反対する少数株主が存在する場合は、株式譲渡のディールを成功させるために、少数株主が有する株式を強制的に取得するスクイーズアウトの方法についても検討せざるを得ないことになります。少数株主をスクイーズアウトさせる方法としては、全部取得条項付種類株式を用いる方法、株式併合を用いる方法、特別支配株主による少数株主の株式の強制取得などの方法があります。特別支配株主とは、総株主の議決権の9割以上を有する株主のことを言います。もし特別支配株主が存在する場合は、特別支配株主による強制取得の方法を用いることが手続き的な負担が最も軽いと言えます。

栗林総合法律事務所における作業の結果

栗林総合法律事務所では、少数株主から株式を強制的に買い取る手法についてアドバイスを行い、特別支配株主による株式取得の方法が最も効果的であろうとの結論に達することができました。一方で、A社の場合、最も多くの株式を有する創業者であっても6割程度の株式しか有しておらず、10%程度の株式を所有する複数の株主が数名存在します。また、1%未満の少数株主が20名程度存在していました。栗林総合法律事務所では、株主リストを検討することで、10%程度の株式を所有している数名の株主については、個別に協議を持ち掛けることで自発的な株式譲渡に応じてくれるのではないかとの結論に達しました。そこで、A社の代表者から、これらの数名の株主に対して、A社の代表者に株式を譲渡するよう個別に相談を持ち掛け、その結果A社の代表者は90%以上の株式を買い集めることに成功しました。その後は、会社法に定められた手続きに従い、対象会社に対する株式等売渡請求の条件(株式の譲渡価格、取得日等)の通知、対象会社の取締役会における承認決議、株主に対する通知、売渡請求の条件を記載した書面の備え置き、取得日における株式取得、反対株主の株式について株式取得代金の供託手続きなどを行っています。

栗林総合法律事務所のサービス内容

栗林総合法律事務所では、多くのM&A案件を扱っています。栗林総合法律事務所では、M&Aにおけるスキームの立案、株価の算定、価格交渉、インフォーメーションパッケージの作成、デューデリジェンスのサポート、スケジュール表の作成、会社法上求められる各種の手続きのサポートを行います。特に、栗林総合法律事務所では、少数株主からの株式取得(買取交渉)について強みを有しております。会社の経営を行っていると、少数株主から株式を取得しなければならない場面は多く出てきますが、ほとんどの事例では、株式等売渡請求の方法のような強制買付(スクイーズアウト)の方法によらずに、少数株主との話し合いによる協議の中で、自発的に株式の売却に応じてくれるのがほとんどです。今回の事例においても、株式の売却に反対する強硬な株主がいらっしゃいましたが、数時間の話し合いを繰り返し行うことで、最終的には株式の任意売却に応じてもらうことができています。栗林総合法律事務所では、依頼者の皆様の依頼を受けて、株式の売却価格の算定、売主との売却交渉を代行して行います。また、株式併合や特別支配株主による株式取得等各種のスクイーズアウトの方法などについてアドバイスを行うとともに、裁判手続きを含む会社法上の手続きを代理して行っています。栗林総合法律事務所では、大企業のM&Aだけでなく、中堅・中小規模の会社のM&A案件も多く扱っています。事業価格が数百万円から数千万円というM&A案件も多くあります。栗林総合法律事務所がこれまで培った経験をもとに皆様の企業をサポートさせていただきます。M&Aを検討されている皆様は是非栗林総合法律事務所にご相談ください。