• 2024.02.16
  • 訴訟・紛争解決

顧客からのクレームについて依頼者を代理して交渉した事例

事案の概要

当事務所の顧問先のT株式会社が、営業で獲得した取引先Yに商品を300万円で販売したところ、取引先Yからは、「このような商品を購入した覚えはないので、商品をもって帰ってくれ。」とクレームがなされました。T株式会社としては、事前に十分な商品説明を行い、商品の購入申込書にもサインをもらっていたにも関わらず、返品要求がなされたため、どうしていいか分からず、当事務所に相談に来られることになりました。当事務所で契約書を確認する限り、契約は有効に成立しており、消費者契約法のクーリングオフに該当する場合でもないことが分かりました。そこで、当事務所は、顧問先T株式会社を代理して取引先Yとの交渉を行うことになりました。

紛争について代理交渉を行う場合のポイント

企業が会社を経営していく場合は、顧客や取引先など様々なステークホルダーとの間で紛争が生じることがあります。紛争解決については相手方当事者との間での協議交渉が避けられません。しかし、自ら交渉を行う場合は、当事者性が強くなり、一方的に責任を認めさせられてしまうような事態が生じる可能性もあります。そこで、代理人を選任して、代理人を通じて交渉してもらうということが重要な選択肢となります。弁護士は、交渉のプロですので、皆様の状況を正確に理解したうえで、貴社の利益を守ることを最大の目標として交渉を行います。

栗林総合法律事務所の業務の結果

当事務所では、顧問先の担当者からのヒアリングを行うとともに、消費者契約法のクーリングオフの適用があるかどうかについても意見書を作成し、本件においてはクーリングオフの適用がないこと、また事前説明の方法や販売方法においても消費者契約法違反の事実も認められないことを確認しました。そこで、依頼者との間で委任契約書を作成し当事務所が依頼者を代理することとし、また相手方から代理権限の確認を求められる可能性があることから当事務所に対して交渉代理を依頼する内容の委任状も提出してもらいました。当事務所からは、相手方に対して内容証明郵便を送付し、相手方が債務不履行であり損害賠償責任を負うこと、及び本件の解決のためにどのような対策が取れるかについて直接会って話したいことを伝えると、約1週間後に相手方の代理人弁護士から、本件について受任することになったので、弁護士同士で話をしたいとの連絡がありました。会議の当日、双方の会社の代表取締役と代理人が直接会って話をしたところ、相手方からは、本来契約は無効であり支払義務はないと考えるが、紛争を抜本的に解決するための解決金として商品代金300万円の1割に当たる30万円の支払いを行うことの提案がありました。当方からは、相手方の債務不履行があり、また訴訟においても十分に立証し得るだけの資料が整っていることは明確であるので、1割の金額では到底承諾し得ない旨を述べています。第1回目の会議はそのまま終了しましたが、会議終了後、先方の代理人から電話があり、商品代金の2割相当の代金を支払うことの和解提案がなされました。当方からは、依頼者と相談の上、商品代金の3分の1である100万円を下回る金額での和解には応じられないこと、和解が成立しない場合は訴訟提起を行わざるを得ないことを主張しました。その後、相手方の代理人から再度連絡があり、解決金として100万円を一括で支払うことで今回の紛争を解決したい旨の提案がなされたため、当方の依頼者の最終的な意思確認を行ったうえ、先方が了解した100万円の金額での和解が成立することになりました。そこで代理人どうしで和解契約書を作成し、それぞれの依頼者の了解を得たうえで、双方の代理人が記名押印することになりました。相手方からはその日のうちに100万円の振り込み送金があり、本件については円満に解決することとなりました。

栗林総合法律事務所のサービス内容

栗林総合法律事務所では、企業が行う日常取引の中で生起する様々な紛争について、依頼者を代理して相手方との協議交渉を行っています。企業の皆様が様々な紛争に巻き込まれた場合、どのような落としどころを目指して、どのような手順で交渉していくかなど迷われることが多くあります。また、企業同士が直接会って協議する場合であっても、それがコンプライアンスの観点からみて正しい解決方法であるかについて懸念が生じることも多くあると思われます。栗林総合法律事務所では、企業の皆様を代理し、和解交渉を行うだけでなく、当該事案の性格を探求し、妥当な落としどころについてアドバイスを行っていきます。上場会社からの依頼がある場合は、意見書を作成するなどして法的な権利関係を文書で確認するとともに、妥当な解決方法を書面で提示いたします。また、実際の交渉では、双方の意見が対立することになりますので、仮に相手方の主張が荒唐無稽であると思われる場合であっても、できる限りお互いに譲歩を得ながら、可能な妥協点を探っていくことが必要となります。このような協議交渉は、多様な交渉を経験している弁護士が行うのが最も適切と考えられます。また、企業の側としても、弁護士を間に挟むことで、感情を抑え、沈着冷静に判断することが可能となります。顧客からのクレームを含め、紛争解決の代理交渉の依頼を検討されている皆様は、是非栗林総合法律事務所にお声がけください。