アメリカの会社との間の英文販売代理店契約書を作成した事例
事案の概要
当事務所の顧問先Aはインターネットのセキュリティに関する製品の販売を行っておりますが、アメリカの会社から日本でアメリカの製品を販売したいので、販売代理店にならないかとの提案があり、英文契約書のドラフトが送られてきました。アメリカの会社から提示された契約書はエージェント契約(Agent Agreement)に関するもので、アメリカの会社の商品を日本で売却すると、当事務所の顧問先Aにエージェントフィーとして紹介料が入る仕組みでした。しかし、当事務所の顧問先Aとしては、当該製品の可能性については確かであるものの、もし日本で販売するのであればかなりしっかりとした関係を構築し、製品の内容についてもきちんと理解する必要があると考えていました。そこで当事務所の顧問先Aは、アメリカから提示された契約案について、どのように回答すればいいかを聞くために、当事務所に相談に来られました。
販売代理店契約書のポイント
日本語では、販売代理店契約、代理店契約、販売店契約などと言われ、その内容があいまいになっています。これに対してアメリカでは、販売代理店契約はDistributorship Agreementであり、代理店契約はAgent契約とされ、明確に区別されています。販売代理店はサプライヤーから商品を買い取り、自らの名前で顧客に対して製品を販売することになります。在庫のリスクや、不良商品に関する契約責任なども負うことになります。これに対しAgent契約では、Agentは顧客に対して商品の購入を推奨するだけであり、売買契約はサプライヤーと顧客との間に成立することになります。販売代理店が仕入れ値と販売価格との差額であるマージンを取得するのに対し、Agentは、顧客紹介料としてのコミッションを取得するのみとなります。このように販売代理店契約とエージェント契約ではその内容を大きく異にすることになりますし、実際の場面ではその中間的な契約が作成されることも多くあります。契約書の作成を行う際には、当事者からのヒアリングを慎重に行い、当事者の意図する取引内容がどのようなものであるかを正確に把握して、契約書に反映していく必要があります。
栗林総合法律事務所における作業の結果
栗林総合法律事務所で顧問先Aから見せられた英文契約書を確認すると、タイトルは販売代理店契約書(Distributor Agreement)となっていましたが、その内容はエージェント契約(Agent Agreement)となっており、当事務所の顧問先が希望する販売代理店契約とは異なるものでした。エージェント契約書では、売買契約の当事者はアメリカの会社(売主)と日本のお客様(買主)となり、当事務所の顧問先は売買契約の当事者とはなりません。その結果、売主や買主としての義務を負うことはありませんが、契約が成立した段階で支払われる成果報酬のみをもらうことになり、エージェントフィーのマージンも少ないものでした。当事務所の顧問先Aとしては、①独占的契約関係とすること、②長期にわたる契約関係とし簡単に契約を切られることがないようにすること、③日本国内における販売価格は当事務所の顧問先の方で決定できるようにしたいこと、④アメリカの会社が提案しているよりもより高いマージンを得ることを考えていること、⑤日本国内の代理店による販売組織を確立したいことなどを考えていました。そこで、当事務所は、アメリカから提示のあったAgent Agreementの内容に修正を加え、販売代理店契約書(Distributorship Agreement)に変更し、日本サイドの要望が反映されるように修正しました。当事務所の顧問先が当事務所の修正内容をもとにアメリカの会社に提案したところ、アメリカの会社も了解し、「日本市場についてはAに任せたいので、販売を努力して欲しい。また、日本市場での販売が好調な場合には将来的にはアジア全体についての販売権も付与したい。」との回答を得ることができました。
栗林総合法律事務所のサービス内容
栗林総合法律事務所では、これまで数多くの英文販売代理店契約書(Distributorship Agreement)や、英文エージェント契約書(Agent Agreement)の作成・翻訳・レビュー(リーガルチェック)を行っています。英文販売代理店契約書と英文エージェント契約書では、取引の仕組みやリスク負担、利益の分配などにおいて多くの違いがあります。どちらの契約が日本の会社にとって有利であるとか不利であるということはなく、取引の内容に応じてどちらの契約を行うかを選択することになります。栗林総合法律事務所では、依頼者の皆様から取引の内容をヒアリングし、皆様の希望に沿った契約書を作成してまいります。また、これらの条項には、代理店か、エージェントか、独占契約か非独占契約か、下部の販売代理店を設置できるかどうか、マージンをどのように決定するか、ディスカウント率の計算方法、最低購入保障、販売制限に関する記載等があります。また、契約期間、不可抗力条項、準拠法、管轄などを依頼者の希望に沿って修正するよう求められることもあります。
栗林総合法律事務所では、弁護士報酬が少額になる場合を除いて、原則として見積書を作成し、事前に見積金額を提示いたします。また、見積書に了解いただいた場合は、委任契約書に調印いただくこととしています。弁護士報酬の金額が明瞭で安心してご依頼いただけます。標準的な内容の英文販売代理店契約書の作成に関する報酬金額は22万円(消費税込)となります。契約内容のカスタマイズが必要となる場合や、契約内容が複雑な場合は、プラスアルファ―で費用が掛かることになりますので、ご相談ください。