• 2023.05.11
  • 国際取引

AIを用いた英文契約書の作成は可能ですか

栗林 勉

執筆者情報

栗林 勉Tsutomu Kuribayashi

栗林総合法律事務所の代表であり、米国ニューヨーク州の弁護士資格を有する国際弁護士。国内企業法務の他、国際的紛争の解決や国際取引に関する契約書の作成、中小企業の海外進出支援などの業務を幅広く扱っている。

AIによる英文契約書の作成

チャットGPTが公開されてから、AIによる文書作成が話題となっています。英文契約書についても、AIを用いて作成することができるレベルになってきました。また、英語による契約書の文例がきわめて豊富であることから、日本語の契約以上に英語の契約書については完成度が高いと言われています。英文契約書は文法的にも内容的にも論理的に作成されていますので、日本語の契約書よりもAIに親和性があると思われます。

プロンプトの入力

AIによる英文契約書を作成するためには、正しいプロンプトを入力する必要があります。英文契約書、ライセンス契約書というような用語を複数組み合わせるだけでもかなり精度の高い文書になると思いますが、当事者の要望に沿った正確なプロンプトの入力は欠かせません。例えば、ライセンス契約書の中にも、特許権のライセンス契約書とコンピュータプログラムなどの著作権(コピーライト)のライセンス契約書では、その内容も形式もかなり異なってきます。したがって、例えば知的財産権に関する英文ライセンス契約書を作成する場合であれば、プロンプトを作成し、AIに指示を出す段階で、ある程度知的財産権についての知識があることが重要になってきます。

著作権侵害の可能性

AIを用いて英文契約書を作成した場合、著作権の侵害を招かないかが問題となります。英文契約書を自分で作成する場合は、もとになる文書がどこに記載されているもので、どのような著作権の問題が生じるのかを事前にある程度判別し理解しておくことができますが、AIが作成した英文契約書については、第三者の著作権をコピーしたものであるかどうかなどが判別しえないからです。但し、英文契約書自体は膨大な数の契約書があり、それぞれの表現もある程度定型化されていますので、誰かの表現をまねしたということで著作権侵害が生じることは通常はありません。著作権侵害が生じるのは特殊な契約書の場合が一般的です。但し、利用約款などは各社が特殊な内容を規定しており、その内容をそのまま映した場合には著作権違反の問題が生じることもあります。一般的な英文契約書の場合は著作権侵害の可能性は低いですが、特殊な契約書を作成する場合は、その可能性についても考慮しておく必要があります。

成果物の信用性

チャットGPTやその他のAIを利用して作成した英文契約書についてはその内容の信頼性も重大な問題となります。英文契約書は特定の当事者間の権利義務関係を定めるものですので、その特殊な契約関係を基にした内容で作成される必要があります。多くの場合に、一般的な契約書を利用することができるとしても、その契約書が当該個別の契約関係において適切かどうかを判断しなければなりません。例えば、英文ライセンス契約書であっても、ライセンサー(権利を授与する側)にとって有利な契約書や、ライセンシー(権利を受ける側)にとって有利な契約書があります。また、契約書によっては、一部の条項についてはライセンサーに有利となっていますが、その他の条項についてはライセンシーに有利な条項となっている例もあります。そこで、それぞれの契約書の内容を正確に理解し、不都合なものについては当事者間の契約関係を反映したものに修正していく必要があります。このようなことを考えた場合は、最初から自分にとって適切な契約書のフォーマット(サンプル)を用いてドラフトしたほうが簡単に契約書を作成できるとも考えられます。但し、一般の人にとっては、それほど多くの契約書のサンプルを有するわけでもなく、自分にとって好ましい契約書のフォーマットがどれであるかということも分からないことが多くあります。このような場合は、細かなことは別としても、契約書の基本的な条件についてはきちんと記載したフォーマットを作成してほしいと望むのではないかと思います。この点から、無料である程度のフォーマットを作成してくれるAIは極めて便利であり、今後ますます利用が広がってくるのではないかと思います。

プロフェッショナルの活用

上記の通り、チャットGPTやその他のAIを利用して英文契約書を作成する機会が今後は著しく増えてくるのではないかと思います。一方でその内容の正確さについては、プロフェッショナルに判定してもらう必要が高まると思います。これまで英文契約書の作成に数十万円の費用を要し、なかなか専門会に依頼することに躊躇していた人も、ある程度のフォーマットが簡単に作成できるようになると、プロフェッショナルが行う専門業務も限定された範囲になってきますので、安い費用で専門家に請け負ってもらえるようになる可能性もあります。その結果、プロフェッショナルの提供する業務形態も著しく変わってくる可能性があります。但し、契約書は様々な条項が複雑に絡んでいるものですので、当該状況の下で本当に自分にとって適切な内容になっているかどうかについては、専門家に判定してもらう重要性は変わらないと言えます。

チャットGPTによる英文秘密保持契約書

実際にチャットGPTを利用して作成した英文秘密保持契約書のサンプルは次の通りです。
以下は一般的な秘密保持契約書のサンプルの例です。ただし、契約書は目的や条件によって異なる場合がありますので、法律事務所や専門家に相談することをお勧めします。

【秘密保持契約書】
This Confidentiality Agreement (“Agreement”) is made and entered into by and between [Disclosing Party name], a [Disclosing Party country] corporation, with a place of business at [Disclosing Party address] (“Disclosing Party”), and [Receiving Party name], a [Receiving Party country] corporation, with a place of business at [Receiving Party address] (“Receiving Party”).
WHEREAS, Disclosing Party possesses certain confidential and proprietary information (“Confidential Information”); and WHEREAS, Receiving Party desires to receive and use such Confidential Information for the purpose of [purpose of disclosure].
NOW, THEREFORE, in consideration of the mutual promises and covenants contained herein, Disclosing Party and Receiving Party agree as follows:

  1. Definition of Confidential Information.
    “Confidential Information” means any and all information of Disclosing Party, whether in oral, written, graphic, electronic, or other form, that is designated as confidential or that, under the circumstances surrounding disclosure, ought to be treated as confidential.
  2. Obligations of Receiving Party.
    Receiving Party agrees to use the Confidential Information only for the purpose of [purpose of disclosure] and to keep the Confidential Information confidential and not to disclose the Confidential Information to any third party without the prior written consent of Disclosing Party. Receiving Party may disclose Confidential Information to its employees or agents who have a need to know the Confidential Information and who have been advised of the confidential nature of the Confidential Information. Receiving Party shall take all reasonable precautions to protect the Confidential Information, including but not limited to, securing all physical copies of the Confidential Information and restricting access to electronic copies of the Confidential Information.
  3. Term and Termination.
    This Agreement shall remain in effect for a period of [number] years from the date of execution of this Agreement, unless earlier terminated by mutual written agreement of the parties or by Disclosing Party upon written notice to Receiving Party. Upon termination of this Agreement, Receiving Party shall immediately cease using the Confidential Information and shall return or destroy all copies of the Confidential Information in Receiving Party’s possession.
  4. Warranty Disclaimer.
    THE CONFIDENTIAL INFORMATION IS PROVIDED “AS IS” WITHOUT WARRANTY OF ANY KIND, EITHER EXPRESS OR IMPLIED, INCLUDING, BUT NOT LIMITED TO, THE IMPLIED WARRANTIES OF MERCHANTABILITY AND FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE.
  5. Limitation of Liability.
    IN NO EVENT SHALL DISCLOSING PARTY BE LIABLE FOR ANY SPECIAL, INCIDENTAL, INDIRECT, OR CONSEQUENTIAL DAMAGES ARISING OUT OF OR IN CONNECTION WITH THE USE OR INABILITY TO USE THE CONFIDENTIAL INFORMATION, EVEN IF DISCLOSING PARTY HAS BEEN ADVISED OF THE POSSIBILITY OF SUCH DAMAGES.
  6. Governing Law.
    This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of [Disclosing Party country]. Any legal action or proceeding arising out of or in connection with this Agreement shall be brought in the courts of [Disclosing Party country].
  7. Entire Agreement.
    This Agreement constitutes the entire agreement between Disclosing Party and Receiving Party and supersedes all prior negotiations, understandings, and agreements between the parties.
    IN WITNESS WHEREOF, the parties have executed this Agreement as of the date first above written.

(翻訳)
本秘密保持契約(以下「本契約」という。)は、[開示当事者の住所]に事業所を有する[開示当事者国]の法人である[開示当事者名](以下「開示当事者」という。)と[受領当事者の住所]に事業所を有する[受領当事者国]の法人である[受領当事者名](以下「受領当事者」という。)によって締結され、かつ両者の間で成立する。
開示当事者は、特定の機密および専有情報(以下「機密情報」という。)を保有しており、受領当事者は、「開示の目的」のために当該機密情報を受領し使用することを希望している。
本契約に含まれる相互の約束及び約定を約因として、開示当事者および受領当事者は、以下のとおり合意する。:

  1. 秘密情報の定義
    「秘密情報」とは、口頭、書面、グラフィック、電子的、またはその他の形式を問わず、秘密として指定された、あるいは開示を取り巻く状況の下で秘密として扱われるべき、開示当事者のあらゆる情報を意味する。
  2. 受領当事者の義務
    受領当事者は、秘密情報を[開示の目的]のためにのみ使用し、秘密情報の秘密を保持し、開示当事者の書面による事前の同意なしに秘密情報を第三者に開示しないことに同意する。
    受領当事者は、機密情報を知る必要があり、機密情報の機密性を知らされている従業員または代理人に機密情報を開示することができる。受領当事者は、秘密情報を保護するために、秘密情報のすべての物理的コピーを保護し、秘密情報の電子的コピーへのアクセスを制限することを含むがこれに限定されない、すべての合理的な予防措置を講じるものとする。
  3. 期間および終了
    本契約は、両当事者の書面による相互合意または開示当事者が受領当事者に書面で通知することにより早期に終了しない限り、本契約の締結日から[数]年の期間効力を有するものとする。本契約が終了した場合、受領当事者は、直ちに秘密情報の使用を中止し、受領当事者が所有する秘密情報のすべてのコピーを返却または破棄するものとする。
  4. 保証の免責事項
    本秘密情報は、商品性および特定目的への適合性に関する黙示の保証を含むがこれに限定されない、明示または黙示のいかなる種類の保証もなく、「現状のまま」提供される。
  5. 責任の制限
    開示当事者は、いかなる場合においても、機密情報の使用または使用不能に起因または関連して生じる特別損害、付随的損害、間接損害または派生的損害について、開示当事者がそのような損害の可能性を知らされていたとしても、責任を負わないものとする。
  6. 準拠法
    本契約は、[開示当事者の国]の法律に準拠し、それに従って解釈されるものとする。本契約に起因または関連するすべての法的措置または手続きは、[開示当事者国]の裁判所に提起されるものとする。
  7. 完全な合意
    本契約は、開示当事者と受領当事者の間の完全な合意を構成し、当事者間のすべての事前の交渉、理解および合意に取って代わるものとする。
    その証として、両当事者は、上記の最初に書かれた日付の時点で本契約を締結した。

(栗林総合法律事務所の解説)
秘密保持契約書は、定型的な文章ですので、その作成が比較的簡単であり、チャットGPTでも作成が可能であるとも考えられます。定型的でない契約書については、チャットGPTにより一定程度のクオリティを備えた文章の作成ができるかどうか現段階では不明です。
今回の秘密保持契約書については、最低限の条件はクリアしているように思います。しかしながら、いくつか問題点がありますので、その点について解説します。

  1. 第3条の契約期間について
    秘密保持契約書の契約期間で、最も問題になるのが、秘密保持契約期間の終了後も秘密保持義務が維持されるのか、契約期間の終了とともに秘密保持義務も終了するのかについてです。今回の契約書では、この点について明記されていなかったため、明記する必要があります。もし、現在のドラフトのように、契約終了後も秘密保持義務が存続するのかどうかについての規定がない場合には、契約期間の終了とともに秘密保持義務も消滅してしまうと解釈される可能性が高いと考えられます。この場合、情報開示当事者は多くの損害を被ってしまうことになりかねません。そこで、情報開示当事者の権利を適正に保護するために、別途サバイバル条項を定め、契約終了後も秘密保持が存続することを明らかにしておく必要があります。
  2. 第5条の責任制限について
    秘密保持義務に違反して情報が開示された場合、開示当事者は重大な損害を被る可能性があります。したがって、損害賠償の範囲や金額を限定するのではなく、むしろ特別損害、不随的損害、間接損害、派生的損害についても賠償の対象となることを明示すべきと考えます。これらの損害が賠償の対象とならない場合には、情報開示当事者が重大な損害を被る可能性があります。

以上の通り、契約書は当事者の権利義務を定めるものであり、その内容如何によっては、当事者が重大な損害を被ってしまう可能性があるものです。そのようなリスクについて十分な注意をしないまま、チャットGPTが作成した秘密保持契約書を用いることは、きわめて危険性が高いと言えます。チャットGPTによる英文契約書を使用するには、この点に注意し、チャットGPTの問題点を認識して使用すべきであると考えます。

チャットGPTによる英文ライセンス契約書

実際にチャットGPTを利用して作成した英文ライセンス契約書のサンプルは次の通りです。
以下は一般的なライセンス契約書のひな型の例です。ただし、契約書は目的や条件によって異なる場合がありますので、法律事務所や専門家に相談することをお勧めします。

【ライセンス契約書】
This License Agreement (“Agreement”) is made and entered into by and between [Licensor name], a [Licensor country] corporation, with a place of business at [Licensor address] (“Licensor”), and [Licensee name], a [Licensee country] corporation, with a place of business at [Licensee address] (“Licensee”).

WHEREAS, Licensor owns certain [software, technology, intellectual property, etc.] (“Licensed Property”) and desires to grant to Licensee a license to use the Licensed Property; and

WHEREAS, Licensee desires to obtain a license to use the Licensed Property from Licensor, subject to the terms and conditions set forth herein.

NOW, THEREFORE, in consideration of the mutual promises and covenants contained herein, Licensor and Licensee agree as follows:

  1. Grant of License.
    Subject to the terms and conditions of this Agreement, Licensor hereby grants to Licensee a [non-exclusive/exclusive] license to use the Licensed Property for the purpose of [purpose of license]. The license shall be limited to use by Licensee and its authorized employees.
  2. Term and Termination.
    This license shall commence on [start date] and shall continue until terminated by either party in accordance with the terms and conditions of this Agreement. Either party may terminate this Agreement upon written notice to the other party if the other party breaches any material term or condition of this Agreement and fails to cure such breach within [number] days after receipt of written notice of such breach. Upon termination of this Agreement, Licensee shall immediately cease using the Licensed Property and shall destroy or return to Licensor all copies of the Licensed Property in Licensee’s possession.
  3. Payment.
    In consideration for the license granted herein, Licensee shall pay to Licensor the sum of [amount] on [due date]. All payments shall be made in [currency].
  4. Ownership.
    Licensor retains all right, title, and interest in and to the Licensed Property, and Licensee shall not acquire any ownership rights therein.
  5. Confidentiality.
    Licensee acknowledges that the Licensed Property contains confidential and proprietary information of Licensor. Licensee shall maintain the confidentiality of the Licensed Property and shall not disclose any part of the Licensed Property to any third party without the prior written consent of Licensor.
  6. Warranty Disclaimer.
    THE LICENSED PROPERTY IS PROVIDED “AS IS” WITHOUT WARRANTY OF ANY KIND, EITHER EXPRESS OR IMPLIED, INCLUDING, BUT NOT LIMITED TO, THE IMPLIED WARRANTIES OF MERCHANTABILITY AND FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE.
  7. Limitation of Liability.
    IN NO EVENT SHALL LICENSOR BE LIABLE FOR ANY SPECIAL, INCIDENTAL, INDIRECT, OR CONSEQUENTIAL DAMAGES ARISING OUT OF OR IN CONNECTION WITH THE USE OR INABILITY TO USE THE LICENSED PROPERTY, EVEN IF LICENSOR HAS BEEN ADVISED OF THE POSSIBILITY OF SUCH DAMAGES.
  8. Governing Law.
    This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of [Licensor country]. Any legal action or proceeding arising out of or in connection with this Agreement shall be brought in the courts of [Licensor country].
  9. Entire Agreement.
    This Agreement constitutes the entire agreement between Licensor and Licensee and supersedes all prior negotiations, understandings, and agreements between the parties.
    IN WITNESS WHEREOF, the parties have executed this Agreement as

(翻訳)
本ライセンス契約(以下「本契約」という。)は、[ライセンサーの住所]に事業所を置く[ライセンサーの国]法人である[ライセンサー名](以下「ライセンサー」という。)と、[ライセンシーの住所]に事業所を置く[ライセンシーの国]法人である[ライセンス名](以下「ライセンシー」という。)によって作成および締結される。
ライセンサーは、特定の[ソフトウェア、技術、知的財産など](以下「ライセンス財産」という。)を所有しており、ライセンス財産を使用するライセンスをライセンシーに付与することを希望している。
ライセンシーは、本契約に定める条件に従い、ライセンサーからライセンス財産を使用するライセンスを取得することを希望する。
したがって、本契約に含まれる相互の約束及び約定を約因として、ライセンサーとライセンシーは以下のように合意する。:

  1. ライセンスの付与
    本契約の条件に従い、ライセンサーはライセンシーに対し、[ライセンスの目的]のためにライセンス対象物を使用する[非独占的/排他的]ライセンスを付与する。本ライセンスは、ライセンシーおよびその権限を有する従業員による使用に限定されるものとする。
  2. 期間および終了
    本ライセンスは、[開始日]に開始され、本契約の条件に従っていずれかの当事者によって終了されるまで継続するものとする。相手方が本契約の重要な条件に違反し、当該違反の書面による通知を受領してから[日数]以内に当該違反を是正しなかった場合、いずれの当事者も相手方に書面で通知して本契約を終了させることができる。本契約が終了した場合、ライセンシーは、直ちにライセンス対象物の使用を中止し、ライセンシーが所有するライセンス対象物のすべてのコピーを破棄するかライセンサーに返却するものとする。
  3. 支払い
    本契約で付与されたライセンスの対価として、ライセンシーはライセンサーに対し、[支払期日]に[金額]を支払うものとする。すべての支払いは、[通貨]で行われるものとする。
  4. 所有権
    ライセンサーは、ライセンス対象物に関するすべての権利、権原、および権益を保持し、ライセンシーはその所有権を取得しないものとする。
  5. 秘密保持
    ライセンシーは、ライセンス対象物にライセンサーの機密情報および専有情報が含まれていることを認める。ライセンシーは、ライセンス対象物の機密性を保持し、ライセンサーの書面による事前承諾なしに、ライセンス対象物のいかなる部分も第三者に開示してはならないものとする。
  6. 保証の免責事項
    ライセンス財産は、明示または黙示を問わず、いかなる種類の保証(商品性および特定目的への適合性の黙示保証を含むが、これらに限定されない)もなく、「現状のまま」提供される。
  7. 責任の制限
    いかなる場合においても、ライセンサーは、ライセンス財産の使用または使用不能に起因する特別損害、付随的損害、間接損害、または派生的損害について、ライセンサーがそのような損害の可能性を知らされていたとしても、責任を負わないものとする。
  8. 準拠法
    本契約は、[ライセンサー国]の法律に準拠し、それに従って解釈されるものとする。本契約に起因または関連するすべての法的措置または手続きは、[ライセンサー国]の裁判所に提起されるものとする。
  9. 完全な合意
    本契約は、ライセンサーとライセンシーの間の完全な合意を構成し、両当事者間のすべての事前の交渉、理解、および合意に優先するものとする。
    その証として、両当事者は、本契約を以下のとおり締結した。

(栗林総合法律事務所の解説)
上記のチャットGPTで作成したライセンス契約書について、ある程度のフォーマリティを備えていると考えられます。ただし、多額の取引に関する契約、重要な財産の処分に関する契約において、権利義務の内容を明確に定めておくことが重要です。また、上記のライセンス契約においては、ライセンスの対象となるライセンス対象物の特定が重要です。特許や商標の場合、出願番号、登録番号等他の権利と混同を生じないような明確な特定が必要となります。ソフトウェアプログラムのライセンスの場合も、どのようなソフトウェアであるかを明示することで、その特定を行うことが重要です。支払いに関する条項においても、金額を記載する必要があるとともにその金額が1年間のライセンス料になるのか月額のライセンス料であるのかなど当事者の争いにならないような形で特定することが重要です。

以上の通り、チャットGPTによる英文契約書は契約書の概要などを知るという意味では、非常に有益なものとなりますが、チャットGPTの検出された内容をそのまま信用する場合においては、思わぬ損害を被ってしまうことがあると言わざるを得ません。英文契約書の作成については必ず専門家によるレビューを受けることをお勧めします。

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