• 2023.04.25
  • 国際取引

英文建物賃貸借契約書の作成のポイント

英文建物賃貸借契約書の無料サンプルの提供

当事務所では、英文建物賃貸借契約書及び英文定期建物賃貸借契約書の無料サンプルを提供しております。英文建物賃貸借契約書、英文定期建物賃貸借契約書の作成を検討されている方は、是非ご覧ください。

英文賃貸借契約書の無料サンプル
英文定期建物賃貸借契約書の無料サンプル

建物賃貸借契約とは

建物賃貸借契約書とは、建物の貸主が借主に対して建物を賃貸することを定めた契約です。単に賃貸借契約という場合もあります。また、借地借家法38条の定めにより、契約期間の更新がない賃貸借契約を定期建物賃貸借契約書と言います。

英文建物賃貸借契約の準拠法

建物の賃貸借契約については、基本的には、建物の所在する地の法律に従って締結されます。建物の賃貸借を規制する法律については、それぞれの国の法政策に基づくものになりますが、賃借人を保護する思想を有する国については、建物の賃貸借を規制する法律が強行規定とされていることもあります。この場合は、その法律に違反する契約は、法律に違反する範囲で無効となります。そこで、外国に所在する不動産の賃貸借契約書を作成する場合は、所在地の法律に従って作成する必要があります。また、契約書のフォーマットも国ごとに違いがありますので、外国の建物の賃貸借については、それぞれの国で使用されるフォーマットに基づいて作成する必要があります。

日本の不動産に適用される法律

日本に所在する不動産の賃貸借については、日本の民法や借地借家法が適用になります。また、日本の判例では、賃借人を保護するための様々な判例が存在します。日本に所在する不動産の賃貸借契約書を作成する場合は、これらの法律や判例について検討した上で作成する必要があります。

定期建物賃貸借契約について

借地借家法では、第38条以下において、定期建物賃貸借契約について定めています。定期建物賃貸借契約とは、期間の更新について定めのない契約で、契約期間の満了とともに契約が終了することが書面により定められている契約です。契約期間の更新がないと言っても、契約期間の満了後に新たな定期建物賃貸借契約書を作成することは問題ありません。多くの場合、1年や2年などの短い契約期間の契約が何回も作成され、その結果、長期にわたって賃貸借が継続されています。定期建物賃貸借契約は書面で作成しなければなりません。但し、公正証書で作成する必要はなく、通常の書面による契約で十分です。

普通建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約の違い

普通賃貸借契約の場合、契約期間の満了による賃貸借契約の終了を賃貸人が主張する場合には、信頼関係を破壊するような事由の存在が必要とされています(信頼関係破壊理論)。信頼関係を破壊する場合としては、賃料や共益費の継続的な未払や、使用方法に著しく問題がある場合などが信頼関係破壊の事由とされます。具体的には、故意に建物を損壊する場合、近隣の物やその他の第三者に著しい迷惑をかけるような場合、賃貸人の同意なしに建物を転貸借する場合などがあります。

英文建物賃貸借契約書の前文

英文建物賃貸借契約書の前文では、いつだれとだれの間で建物賃貸借契約が締結されたかを端的に記載する必要があります。賃貸人のことをLessorと言い、賃借人のことをLesseeと言います。賃貸人のことをLandlordと表現し、賃借人のことをTenantと表現することもあります。

(サンプル)
This Building Lease Agreement (Agreement) made and entered into on April 30, 2023 by and between Yamada Corporation, with its address at 1-3-8, Kojimachi, Chiyoda-ku, Tokyo (Lessor) and ABC Co., Ltd., with its address at 20300 W Bluebird, Porter Ranch, CA 92100 (Lessee) as follows:

(訳)本建物賃貸借契約書(本契約書)は、2023年4月30日、東京都千代田区麹町1丁目3番8号に所在する山田株式会社(賃貸人)と、92100カリフォルニア州ポートランチ、Wブルーバード20300に所在するABC Co., Ltd. (賃借人)との間で、次の通り締結された。
但し、定期建物賃貸借契約の場合は、その契約書が普通建物賃貸借契約に関するものではなく、定期建物賃貸借契約に関するものであることを明確にするために、タイトルも定期建物賃貸借契約とし、前文の中でも、借地借家法38条の規定に基づき締結される定期賃貸借契約であることを明確に記載しておく必要があります。

(サンプル)
This Fixed Term Building Lease Agreement (Agreement) made and entered into on April 30, 2023 by and between Yamada Corporation, with its address at 1-3-8, Kojimachi, Chiyoda-ku, Tokyo (Lessor) and ABC Co., Ltd., with its address at 20300 W Bluebird, Porter Ranch, CA 92100 (Lessee) in accordance with Article 38 of the Act on Land and Building Lease Law as follows:

(訳)本定期建物賃貸借契約書(本契約書)は、2023年4月30日、東京都千代田区麹町1丁目3番8号に所在する山田株式会社(賃貸人)と、92100カリフォルニア州ポートランチ、Wブルーバード20300に所在するABC Co., Ltd. (賃借人)との間で、借地借家法第38条の規定に基づき、次の通り締結された。

英文建物賃貸借契約における目的物の特定

英文建物賃貸借契約においては、賃貸借の対象となる目的物の特定を行うことが必要となります。賃貸借の目的物は、場所や広さなどにより特定されます。

(サンプル)
The Lessor agrees to lease to the Lessee the following property (Property):
Location: Mitsui Bldg., 301, 3-5-1, Kojimachi, Chiyoda-ku, Tokyo
Area: 120 square meters
Type of space: office

(訳)賃貸人は、次の不動産(本件不動産)を賃借人に賃貸することに同意する。
所在:東京都千代田区麹町3丁目5番1号三井ビル301号
面積:120平方メートル
種類:事務所

英文建物賃貸借契約における使用目的

英文建物賃貸借契約においては、使用目的を明確にしておく必要があります。オフィスとしての使用か、居住用の賃借かなどを記載します。

(サンプル)
The Lessee shall not use the Property for any purpose other than commercial use.

(訳)賃借人は、商業目的以外の目的で本件不動産を使用してはならない。

英文建物賃貸借契約における契約期間

建物賃貸借契約においては、契約期間を定める必要があります。契約期間の満了による契約の終了をexpirationと言い、契約期間の途中における契約解除(契約の終了)をterminationといいます。普通賃貸借契約の場合、賃貸人が契約期間の満了による契約の終了を主張するためには、信頼関係を破壊するような事由の存在が必要です。信頼関係の破壊が認められない場合は、契約期間が満了しても契約を終了させることはできず、その後は期間の定めのない契約となってしまいます。

(サンプル)
The term of this Agreement shall be for a period of 2 years commencing on May 1, 2023 and expiring at the end of April 30, 2025.

(訳)定期建物賃貸借契約の場合は、契約期間の更新がない旨を契約の中で明確に定めておく必要があります。
但し、定期建物賃貸借契約の場合は、契約期間が満了した場合は、信頼関係破壊の有無にかかわらず契約の終了を主張することが出来ます。定期建物賃貸借契約の場合は、契約書の中で、契約期間の更新がないことを定める必要があります。また、契約期間満了の1年前から6カ月前までの期間中に賃貸人から賃借人に対して契約期間が満了する旨の通知を行う必要があります。賃貸人がこの通知を怠った場合は、定期建物賃貸借契約であっても、賃貸人は賃借人に対して契約期間終了の主張をすることができません。

(サンプル)
The term of this Agreement shall be for a period of 2 years commencing on May 1, 2023 and expiring at the end of April 30, 2025. The term of lease shall not be renewed. However, parties can agree to enter into a new lease agreement after the expiration of the original lease period. The Lessor shall give the Lessee written expiration notice (Expiration Notice) during the period from one year to six months prior to expiration of the term of this Agreement (Expiration Notice Period). Unless the Lessor notifies the Lessee Expiration Notice during Expiration Period, the Lessor may not assert the termination of this Agreement against the Lessee. Provided, however, that if the Lessor has notified the Lessee the termination of this Agreement after the Expiration Notice Period, the lease will be terminated six months after that notice.

(訳)本契約の期間は2023年5月1日に開始し、2025年4月30日に終了する2年の期間とする。本契約の期間は更新がない。但し、当初の賃貸期間の満了後、両当事者は、新しい賃貸借契約の締結について合意することが出来る。本契約の期間満了前1年間から6カ月の間(期間満了通知期間)において、賃貸人は、賃借人に対して、文書による期間満了通知(期間満了通知)を送付しなければならない。賃貸人が賃借人に対して、期間満了通知期間内に、期間満了通知を送付しなければ、賃貸人は、賃借人に対して期間の満了を主張することができない。但し、期間満了通知期間の後に、賃貸人が賃借人に対して契約の終了を通知した場合は、その通知の6カ月後に本契約は終了する。

英文建物賃貸借契約における賃料

賃料については、賃貸借契約の主要な要素になりますので、必ず記載する必要があります。賃料についての記載がない場合は、無償で使用を許すことになります。この場合は、賃貸借契約ではなく使用貸借契約になります。

(サンプル)
The Lessee shall pay to the Lessor during the term of this Agreement one million (1,000,000) yen per month with then applicable consumption tax.

(訳)本契約の期間中、賃借人は賃貸人に、毎月100万円とそれに対する消費税を支払う。

英文建物賃貸借契約における敷金

日本の建物の賃貸借契約においては、敷金の預け入れがなされることが多くあります。敷金を預かる場合は、その内容を定めておく必要があります。

The Lessee shall pay a security deposit at eight million (8,000,000) yen to the Lessor to cover any liabilities arising from this Agreement. The Lessee cannot use the security deposit to offset any liabilities, including rent before moving out. The Lessor must refund promptly the whole amount of the security deposit without interest when the Lessee vacates the Property. Provided, however, if there are any unpaid rent or any other default liabilities under this Agreement, the Lessor can deduct the amount of such rent or liabilities from the security deposit.

(訳)賃借人は、本契約から生じる全ての責任を保証するため、800万円の敷金を預けるものとする。賃借人は、この敷金について、賃料を含め、賃借人が退去前に賃貸人に対して負担するいかなる債務とも相殺することはできない。賃貸人は、賃借人が本件不動産を退去したときは、敷金の全額を、利息をつけずに、直ちに返還しなければならない。但し、賃料の未払や本契約に基づく未払の債務がある場合は、賃貸人は当該未払賃料や債務を敷金から差し引くことが出来る。

英文建物賃貸借契約における共益費の負担

賃借には、共益費や水道光熱費などの公共料金を負担することになります。これらの負担についても賃貸借契約書の中で明確にしておく必要があります。

(サンプル)
The Lessor shall bear the taxes and public charges imposed on the Property. The Lessee shall bear all fees and expenses relating to the use of the equipment of the Property, including, but not limited to, electricity, gas, water, sewerage.

(訳)賃貸人は、本件不動産に課せられる税金その他の公租公課を負担する。賃借人は、電気、ガス、水道、下水道の料金を含め、本件不動産の施設の利用に関する全ての費用を負担するものとする。

英文建物賃貸借契約における禁止行為

賃貸借契約書の中では、賃借人の禁止行為を詳細に定めることが多くあります。ここでは、最低限の禁止行為のみを記載していますが、実際の契約書の中では、様々なルール(賃借人がしてはならない行為)を記載することになります。

(サンプル)
The Lessee shall not take any of the following actions without a prior written consent from the Lessor:
(1) To assign the lease or sublease the Property in whole or in part to any third party.
(2) To make any renovation, alteration, extension to the Property.
(3) To bring dangerous goods, heavy goods, or filthy or odorous materials that may cause nuisance to third parties.

(訳)賃借人は、賃貸人からの事前の書面による同意がある場合を除き、次の行為をしてはならない。
(1) 第三者に対して本件不動産の全部又は一部についての賃借権を譲渡し、又はサブリースすること
(2) 本件不動産について、リフォーム、改造、造作を行うこと
(3) 危険なもの、重量のあるもの、第三者に対して迷惑が及ぶような不潔なまたは悪臭のあるものを持ち込むこと

英文建物賃貸借契約における修繕

建物賃貸借契約期間中に発生した修繕費を賃貸人と賃借人のどちらが負担するのかについても規定しておく必要があります。

(サンプル)
The Lessee shall notify Lessor at once when repairs are required to keep the fixture and equipment included in the Property in order to maintain the leased Property fit for commercial use. The Lessor shall bear the cost of performing the repairs, provided, the costs of repairs which become necessary due to an intentional or negligent act of or by the Lessee shall be born by the Lessee.

(訳)賃借人は、本件不動産を商業利用に適するようにするために本件不動産に含まれる造作や設備について修繕を行うことが必要な場合には、直ちに賃貸人に知らせるものとする。賃貸人は、修繕に必要な費用を負担するものとする。但し、賃借人の悪意又は過失による行為によって必要となった修繕の費用については賃借人が負担するものとする。

英文建物賃貸借契約における契約解除

不動産の賃貸借は長期にわたる契約ですので、契約期間の満了による契約の終了だけでなく、契約期間途中においても、一定の事由の発生により契約を解除する必要が生じてくる可能性があります。賃貸人が契約期間の途中において契約の解除をしようとする可能性があるのであれば、賃貸人としては、賃貸借契約書の中でできるだけ詳細に契約解除の根拠となる事由を具体的に記載しておく必要があります。契約解除には、通知を行って契約を解除する場合(催告解除)と、契約解除事由の発生によって、通知なしに直ちに解除できる場合(無催告解除)があります。建物賃貸借契約書の中に、契約の解除事由についての記載がない場合であっても、相手方当事者に民法の規定による債務不履行があった場合には、民法の規定により契約期間の途中において債務不履行による契約解除を行うことができます。但し、普通賃貸借においては、信頼関係が破壊されたと言える事由がない限り、賃貸人の側から債務不履行解除の主張を行うことはできません。

(サンプル)
In the event of the followings, the Lessor may terminate this Agreement without notice.
(1) When the Lessee delays the payment of rent in Article 4, or the payment of the various charges specified in Article 6 or paragraph 2 of Article 8 for more than one month.
(2) When Lessor determines that Lessee has acted in such ways as to corrupt public orders and good customs or injure a reputation of the Property.

(訳)以下の場合、賃貸人は、通知なしに本契約を解除することが出来る。
(1) 賃借人が、第4条に定める賃料、第6条または第8条第2項に定める様々な負担について1カ月以上支払いを行わない場合
(2) 賃借人が公の秩序を害し又は本件不動産の評判を棄損させる行為を行ったと賃貸人が判断する場合

英文建物賃貸借契約における明渡し

賃貸借契約が期間満了や契約解除により終了した場合は、賃借人は建物を原状に復した上で賃貸人に返還する必要があります。原状回復義務は賃借人が負担します。但し、建物の使用により当然生じてくる通常の損耗については賃貸人の負担となります。

(サンプル)
The Lessee shall evacuate the Property by the day on which this lease ends. In this case, the Lessee shall return the Property to its original state except for the damages that come from ordinary wear and tear.

(訳)賃借人は、賃貸借が終了したときは、直ちに本件不動産を明け渡す。この場合、賃借人は、通常の損耗による損傷を除き、本件不動産を原状に復して返還するものとする。

英文建物賃貸借契約における不可抗力

賃貸借は建物の使用を認める契約ですので、何らかの事由により建物が滅失してしまったような場合には、それ以上建物の賃貸を継続することができません。そこで、不可抗力によって債務の履行(賃貸人の場合は、建物を使用できる状態にして提供すること)ができない場合には、相互に相手方当事者に対して何らの責任を負わないことを明確にしておく必要があります。なお、不可抗力はいずれの当事者にも責任がない場合ですので、当事者の一方に責任がある場合はその当事者の債務不履行であり、不可抗力の問題とはなりません。

(サンプル)
Neither party shall be liable to the other for any delay or failure in the performance of its obligations under this Agreement if and to the extent such delay or failure in performance arises from any cause or causes beyond the reasonable control of the party affected (“Force Majeure”), including without limitation, act of God, acts of government or governmental authorities, compliance with law, regulations or orders, fire, storm, flood or earthquake, war, rebellion, revolution, acts of terrorism or riots, epidemics, strike or lockouts.

(訳)いずれの当事者も、本契約上の義務の履行遅延または不履行が、天災、政府または政府機関の行為、法律、政令または命令の遵守、火災、嵐、地震、戦争、反乱、革命または暴動、エピデミック、ストライキ、ロックアウトを含むがこれらに限らず、影響を受けた当事者の合理的なコントロールの範囲を超えた理由によって生じた場合(「不可抗力」)には、かかる履行遅延または不履行について他方当事者に対して責任を負わない。

英文建物賃貸借契約における準拠法

建物の賃貸借契約の準拠法は、不動産所在地の法となるのが一般的です。英文不動産賃貸借契約書は、当事者のいずれか一方が外国に所在するなど、クロスボーダー的要素(国際的要素)がある場合の契約書になりますので、どこの国の法律が適用になるかを明確にしておく必要があります。

(サンプル)
This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of Japan.

(訳)本契約は日本法に準拠し、これに基づいて解釈されるものとする。

英文建物賃貸借契約における裁判管轄

英文建物賃貸借契約は、当事者の一方が海外に所在するなど国際的要素のある賃貸借契約において作成されるものですので、紛争が生じた場合に、どこの国の裁判所で紛争の解決を行うのかを明確にしておく必要があります。また、紛争解決手段としては裁判の他、仲裁や調停もありますので、紛争解決の手段として、裁判によるのか、仲裁によるのか、調停によるのかを定めておく必要があります。

(サンプル)
All disputes, controversies, or differences which may arise between the parties, out of or in relation to or in connection with this Agreement shall be exclusively brought in the Tokyo District Court of Japan for the first instance.

(訳)本契約から発生し、本契約に関連し、本契約から生じる全ての紛争、議論、意見の相違については、東京地方裁判所が第一審の専属管轄を有するものとする。

英文建物賃貸借契約における副本

契約の当事者は複数になりますので、各当事者がそれぞれ原本を所持する場合は複数の正本が作成されることになります。また、日本に所在する不動産について英文賃貸借契約書が作成される場合は、日本語と英語が併記されるか、日本語の契約書と英語の契約書がそれぞれ作成される場合が多くあります。これらの書類相互の関係を明確にしておく必要があります。

(サンプル)
This Agreement may be executed simultaneously in multiple counterparts, each of which shall be deemed an original and all of which when taken together shall be deemed to be one and the same agreement. In the event that this Agreement is executed in both the English and Japanese language, the English text shall govern in the event of any discrepancies.

(訳)本契約は複数の副本が同時に作成されるが、各副本はいずれも原本とみなされ、全ての副本は一つの同一の契約書とみなされる。契約書が英語と日本語で作成されている場合、食い違いがある場合には、英語版によるものとする。

英文建物賃貸借契約における修正

英文建物賃貸借契約書の修正については、両当事者が調印した書面によってのみ行うことを定める内容です。

(サンプル)
This Agreement may not be amended except by an instrument in writing signed on behalf of all of Parties herein.

(訳)本契約は、両当事者が署名した文書によるのでなければ修正できない。

英文建物賃貸借契約における権利放棄

権利放棄についての一般条項です。英文建物賃貸借契約書において、英文契約書で一般に用いられる一般条項のうち、どの範囲まで記載するかは、当事者の関係を基に、当事者が自由に定めることができます。アメリカ人との契約においては一般条項の記載があるのが多いと思われます。

(サンプル)
No waiver of any term of conditions of this Agreement shall be deemed to be a further or continuing waiver of that terms or conditions or a waiver of any other terms or conditions.

(訳)本契約上の権利の放棄は、当該権利の継続的な権利放棄や本契約上の他の権利の放棄とはみなされない。

英文建物賃貸借契約における通知

通知についての一般条項です。英文建物賃貸借契約書において、英文契約書で一般に用いられる一般条項のうち、どの範囲まで記載するかは、当事者の関係を基に、当事者が自由に定めることができます。当事者の一方が外国に居住する場合などには、通知方法についても定めを行っていないと、通知がなされたかどうかについて争いが生じることがあります。

(サンプル)
All notices and other communications shall be in writing and shall be given by registered airmail, international courier or by facsimile, or by other means providing proof of delivery to the parties at their respective office first above referred to or to any other address of which a party notifies the other in accordance with this Article.

(訳)本契約による通知やその他のコミュニケーションは、文書により、登録郵便、国際クーリエ、ファクシミリ、その他配達が証明されるその他の手段により、本契約書の冒頭に記載した住所又は本契約書に基づき他方当事者に対して通知されたその他の住所に宛てて行われるものとする。

英文建物賃貸借契約における完全条項

完全条項に関する一般条項です。英文建物賃貸借契約書において、英文契約書で一般に用いられる一般条項のうち、どの範囲まで記載するかは、当事者の関係を基に、当事者が自由に定めることができます。

(サンプル)
This Agreement constitutes the entire and completer agreement between the parties concerning the subject matter of this Agreement and supersedes all prior agreements.

(訳)本契約は、本契約の主題に関する当事者間の完全かつ包括的契約であり、従前の合意に取り代わるものである。

英文建物賃貸借契約における署名欄

英文建物賃貸借契約書においても、各当事者が署名を行い、原本を相手方当事者に対して交付することになります。日本の契約書と異なり、押印は必要ありません。署名は署名権限を有する者が、ローマ字で名前を記載する方法で行われます。名前の全部を記載せず、イニシャルサインのみを行うこともあります。

(サンプル)
IN WITNESS WHEREOF, the parties hereto have caused this Agreement to be executed by their duly authorized representatives, effective as of the day and year first above written.

(訳)上記の合意を証するため、本契約の各当事者は本契約書を作成し、冒頭に記載した日をもって権限を付与された代表者がこれに署名した。

企業法務の最新情報をお届けする無料メールマガジン

栗林総合法律事務所 ~企業法務レポート~

メルマガ登録する